れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

2023-01-01から1年間の記事一覧

怯えながら生きる:『群青の夜の羽毛布』

最近山本文緒大先生のエッセイや小説を立て続けに読んでいます。 その中で、なかなか読み応えがあったのが『群青の夜の羽毛布』。 群青の夜の羽毛布 (角川文庫) 作者:山本 文緒 KADOKAWA Amazon 登場人物が煙草をよく吸う、1995年に書かれた小説のようです。…

『日々是作文』

山本文緒大先生の昔のエッセイを読みました。 日々是作文(ひびこれさくぶん) (文春文庫) 作者:山本 文緒 文藝春秋 Amazon おもに90年代に書かれた文章が中心で、その頃山本先生は30代。今の私と同じくらいで、自分と比べるのはいろいろ烏滸がましいとは思…

恋愛の唯一性:『孤独な夜のココア』

電車やカフェでのちょっとした空白の時間に短編集を読みたいと思い、田辺聖子『孤独な夜のココア』を手に取りました。 孤独な夜のココア(新潮文庫) 作者:田辺 聖子 新潮社 Amazon 初版が発行されたのは昭和58年とのことなので、少し古き良き時代というか、…

『ハッピークソライフ』

すっかり夏になりましたね。 暑いといろんなことがどうでもよくなって、夏のそういう気分が結構好きです。 こんな暑くてダラダラしていたい日にぴったりな漫画が『ハッピークソライフ』。 ハッピークソライフ 【電子限定特典付き】 (1) (バンブーコミックス …

フランス人に生まれたかったかもしれない

『午前4時にパリの夜は明ける』という映画を観まして。 bitters.co.jp 1981年、パリ。結婚生活が終わりを迎え、ひとりで子供たちを養うことになったエリザベートは、深夜放送のラジオ番組の仕事に就くことに。そこで出会った少女、タルラは家出をして外で寝…

余命を知った後の生活2:『THE WHALE』

先日観た映画『THE WHALE』もいろいろ考えるきっかけをくれた作品でした。 whale-movie.jp 愛する人との死別などから過食と引きこもりになり重度の肥満症となったチャーリーは、唯一の友人で元恋人の妹であり看護師でもあるリズから、いよいよ自身の余命が近…

余命を知った後の生活:『無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―』

山本文緒大先生が最期の時まで書いていた日記が出版されていたのを最近知り、読みました。 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記― 作者:山本文緒 新潮社 Amazon 人間ドックを毎年受けて、10年以上飲酒も喫煙もしていなくても、いきなり末期癌が発見され…

徒労感だけがつのる理由:『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?』

大屋夏南さんがYouTubeでまたまた面白い本を紹介されていました。山口周『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?』。 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書) 作者:山口 周 光文社 Amazo…

中年女性の安定しない情緒:『エンパイア・オブ・ライト』

最近ホルモンバランスが崩れているのかなんなのか、精神的に不安定で地味に辛い日々を送っています。 今月は誕生月でもあったし、加齢が改めて心身にダメージ与えてるんですかね。なんか毎年今の時期って荒んでいる感じがします。 そんな状態なので、先日観…

無駄話と有限の人生:『イニシェリン島の精霊』

今年は映画館で映画をたくさん観たいと思っていて、今のところ結構面白い作品に出会えています。 最近観た中で面白かったのが『イニシェリン島の精霊』。 www.searchlightpictures.jp あらすじは以下。 1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住…

疲れるけど避けられないフェミニズム

先日書店の雑誌コーナーで『Numero TOKYO 2023年3月号』をちらっと読んだんです。 Numero TOKYO(ヌメロトウキョウ) 2023 年 3月号 [雑誌] (デジタル雑誌) 扶桑社 Amazon それで後ろの方に「バービーのモヤモヤ相談室 」という、お笑い芸人のバービーさんの連…

喪失と子育て:『わたし、今日から「おひとりさま」』

あけましておめでとうございます。 ぼやぼやしているうちに新年になってしまいましたが、昨年末に読んで印象深かった漫画について記録しておこうと思います。年末のうちに書いとけという感じですが。 わたし、今日から「おひとりさま」 (フィールコミックス)…