れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

ひとりで生きるのは怖い:『汝、星のごとく』

結構久しぶりの更新になりました。まだ生きてます。あけましておめでとうございます(もう3月…)。 凪良ゆう『汝、星のごとく』を読みました。 汝、星のごとく 作者:凪良ゆう 講談社 Amazon 書店で平積みにされているのをよく見ていましたが、今頃読んだとい…

怯えながら生きる:『群青の夜の羽毛布』

最近山本文緒大先生のエッセイや小説を立て続けに読んでいます。 その中で、なかなか読み応えがあったのが『群青の夜の羽毛布』。 群青の夜の羽毛布 (角川文庫) 作者:山本 文緒 KADOKAWA Amazon 登場人物が煙草をよく吸う、1995年に書かれた小説のようです。…

『日々是作文』

山本文緒大先生の昔のエッセイを読みました。 日々是作文(ひびこれさくぶん) (文春文庫) 作者:山本 文緒 文藝春秋 Amazon おもに90年代に書かれた文章が中心で、その頃山本先生は30代。今の私と同じくらいで、自分と比べるのはいろいろ烏滸がましいとは思…

恋愛の唯一性:『孤独な夜のココア』

電車やカフェでのちょっとした空白の時間に短編集を読みたいと思い、田辺聖子『孤独な夜のココア』を手に取りました。 孤独な夜のココア(新潮文庫) 作者:田辺 聖子 新潮社 Amazon 初版が発行されたのは昭和58年とのことなので、少し古き良き時代というか、…

『ハッピークソライフ』

すっかり夏になりましたね。 暑いといろんなことがどうでもよくなって、夏のそういう気分が結構好きです。 こんな暑くてダラダラしていたい日にぴったりな漫画が『ハッピークソライフ』。 ハッピークソライフ 【電子限定特典付き】 (1) (バンブーコミックス …

フランス人に生まれたかったかもしれない

『午前4時にパリの夜は明ける』という映画を観まして。 bitters.co.jp 1981年、パリ。結婚生活が終わりを迎え、ひとりで子供たちを養うことになったエリザベートは、深夜放送のラジオ番組の仕事に就くことに。そこで出会った少女、タルラは家出をして外で寝…

余命を知った後の生活2:『THE WHALE』

先日観た映画『THE WHALE』もいろいろ考えるきっかけをくれた作品でした。 whale-movie.jp 愛する人との死別などから過食と引きこもりになり重度の肥満症となったチャーリーは、唯一の友人で元恋人の妹であり看護師でもあるリズから、いよいよ自身の余命が近…

余命を知った後の生活:『無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―』

山本文緒大先生が最期の時まで書いていた日記が出版されていたのを最近知り、読みました。 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記― 作者:山本文緒 新潮社 Amazon 人間ドックを毎年受けて、10年以上飲酒も喫煙もしていなくても、いきなり末期癌が発見され…

徒労感だけがつのる理由:『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?』

大屋夏南さんがYouTubeでまたまた面白い本を紹介されていました。山口周『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?』。 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書) 作者:山口 周 光文社 Amazo…

中年女性の安定しない情緒:『エンパイア・オブ・ライト』

最近ホルモンバランスが崩れているのかなんなのか、精神的に不安定で地味に辛い日々を送っています。 今月は誕生月でもあったし、加齢が改めて心身にダメージ与えてるんですかね。なんか毎年今の時期って荒んでいる感じがします。 そんな状態なので、先日観…

無駄話と有限の人生:『イニシェリン島の精霊』

今年は映画館で映画をたくさん観たいと思っていて、今のところ結構面白い作品に出会えています。 最近観た中で面白かったのが『イニシェリン島の精霊』。 www.searchlightpictures.jp あらすじは以下。 1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住…

疲れるけど避けられないフェミニズム

先日書店の雑誌コーナーで『Numero TOKYO 2023年3月号』をちらっと読んだんです。 Numero TOKYO(ヌメロトウキョウ) 2023 年 3月号 [雑誌] (デジタル雑誌) 扶桑社 Amazon それで後ろの方に「バービーのモヤモヤ相談室 」という、お笑い芸人のバービーさんの連…

喪失と子育て:『わたし、今日から「おひとりさま」』

あけましておめでとうございます。 ぼやぼやしているうちに新年になってしまいましたが、昨年末に読んで印象深かった漫画について記録しておこうと思います。年末のうちに書いとけという感じですが。 わたし、今日から「おひとりさま」 (フィールコミックス)…

命と尊厳は数値化できない:『ガヨとカルマンテスの日々』

今年も何度か映画館でいろんな映画を観た気がするのですが、ぱっと思い出せるほど記憶に残っていないんですよね。 そんななかかなりインパクトがあって、2日連続で映画館に足を運ぶほど惹きつけられた作品が『ガヨとカルマンテスの日々』でした。 ガヨとカル…

煮詰めた悲劇:『少年のアビス』

寒くなってくると初期のRadioheadを聴いたり自殺志願者の掲示板を見たり、なぜか暗いものに惹かれるんですよね。いや、年中惹かれてますけど。 そんなおり、漫画『少年のアビス』を読みました。暗い、けど、めっちゃ面白いです。 少年のアビス 1 (ヤングジャ…

拘りと幸せ:『自転しながら公転する』

やーっぱり面白かったです、山本文緒『自転しながら公転する』。 自転しながら公転する 作者:山本文緒 新潮社 Amazon 茨城の実家にUターンしてアウトレットモールのアパレル店員として働くワーキングプアーの独身アラサー・都と、飲食店で働く中卒フリーター…

無敵の人予備軍の苦悩と:『正欲』

すこぶる面白かったです、朝井リョウ『正欲』。 正欲 作者:朝井リョウ 新潮社 Amazon 人間ではなく"水"に欲情する特殊性癖をもつアラサーサラリーマン佐々木佳道と、彼の中学の同級生・桐生夏月。 夏月は三十路を過ぎても独身のまま岡山の実家で暮らし続けて…

終活で身辺整理:展示のチケットその4

前回からの続き。 2021年 ファッション イン ジャパン 1945-2020―流行と社会。 これはちきりんさんのVoicyで気になって仕事帰りに行きました。 ファッション系の展示は何度か行ったことがありますが、平成のギャル文化が展示されてたのは面白かったし懐かし…

終活で身辺整理:展示のチケットその3

前回からの続き。 2018年 ヘレンド展。ヘレンドがなんだったかはよく覚えてないけど、観に行ったことは覚えてます。 こういう豪華絢爛な感じの西洋陶器大好き。 ブリューゲル展。これはそこまで印象に残ってないです。 ちょうどニートしてて暇つぶしに行った…

終活で身辺整理:展示のチケットその2

前回からの続き。 2015年 パスキン展。全然記憶にない。 山口小夜子 未来を着る人。これは覚えてます。 地元の図書館にあった『小夜子の魅力学』が大好きでよく読んでたので、実際にポスターとか観られて良かったです。 小夜子の魅力学 作者:山口 小夜子 文…

終活で身辺整理:展示のチケットその1

先日、夜眠れなくてTwitterをだらだら見ていたら下記の記事を見つけました。 「富士山噴火と巨大地震」リスクが巨大になると人は思考停止に:日経ビジネス電子版 なるほどこれを読むと、2030年から2040年までの間に、南海トラフ巨大地震というとてつもない災…

人の人生を知らないあなたへ:『みんなのうた』

複雑な面白さを持つ漫画に出逢いました。 みんなのうた(1) (コミックDAYSコミックス) 作者:青野春秋 講談社 Amazon 見ていてどことなく不安になる絵柄や、若干引くほど不幸な登場人物たちが織りなす群像劇が不思議な可笑しみをはらんでいて、なかなか…

プレゼント・デイ、プレゼント・タイム:『serial experiments lain』

梅雨のせいか、最近ほとほと疲れていて、死ぬことばかり考えてしまいます。 仕事は全然暇だし、フレックスだから好きな時間に起きて好きな時間に眠れるのに、なんでこんなにしんどいのか。 死にたみがあるのは物心ついたときからですが、近頃は飛び降りが一…

今月一番思考を持っていかれた『売れっ子漫画家×うつ病漫画家』

先日の亜獣譚エントリにも書きましたが、pixiv漫画『売れっ子漫画家×うつ病漫画家』がマインドをえぐりまくりでどえらいハマっています。 www.pixiv.net 売れっ子とまではいかないまでも、誠実にいい作品を描いて賞なども獲っていた漫画家・古印葵こと福田矢…

濃い漫画:『亜獣譚』

先日Twitterでトレンド入りしていたpixiv上のWEB漫画『売れっ子漫画家×うつ病漫画家』が面白くて、どハマりしました。 www.pixiv.net この漫画を"趣味で"描いているという作者の溺英恵氏は、商業漫画家・江野スミ(朱美)先生としても活躍されているそうな。 …

そのスタイルでいこう:『オーラの発表会』

日本の現代文学でギャグ・コメディセンスがピカイチなのが綿矢りさ大先生。 『オーラの発表会』、めちゃめちゃ笑いました。 オーラの発表会 (集英社文芸単行本) 作者:綿矢りさ 集英社 Amazon あらすじは以下。 「人を好きになる気持ちが分からないんです」 …

自尊感情と距離感:『ブランチライン』

このブログで何度か池辺葵さんの漫画について書いていますが、現在連載中の『ブランチライン』もとても印象深い素晴らしい作品だと思います。 ブランチライン コミック 1-3巻セット 作者:池辺葵 祥伝社 Amazon あらすじは以下。 4姉妹と母。女たちが抱く罪…

劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』を観ました

アニメ『輪るピングドラム』が放送されてから10年が経ったそうで、総集編ないしリマスター版とも呼べるような劇場版が公開されました。 penguindrum-movie.jp 総集編的な劇場版アニメは基本的にどんなに好きだった作品でも観ることはないのです。だって初め…

何者かであることと夢と仕事:『Sketchy』

ガールズスケーター漫画『Sketchy』の5巻にうんうん頷きました。 スケッチー(5) (ヤングマガジンコミックス) 作者:マキヒロチ 講談社 Amazon アラサーのレンタルショップ社員・川澄憧子がスケートボードと出会い、それをきっかけに人生が変わっていく様子…

21世紀の仏教徒:『池上彰と考える、仏教って何ですか?』

私のなかの仏教ブームのひとつの到達点ともいえる著作に出会いました。それが『池上彰と考える、仏教って何ですか?』。 池上彰と考える仏教って何ですか?文庫版 作者:池上彰 飛鳥新社 Amazon さすが池上彰氏、仏教のはじまりから日本でどのように発展したか…