れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

中年女性の安定しない情緒:『エンパイア・オブ・ライト』

最近ホルモンバランスが崩れているのかなんなのか、精神的に不安定で地味に辛い日々を送っています。

今月は誕生月でもあったし、加齢が改めて心身にダメージ与えてるんですかね。なんか毎年今の時期って荒んでいる感じがします。

そんな状態なので、先日観た映画『エンパイア・オブ・ライト』もとても心に残りました。

www.searchlightpictures.jp

監督は以前このブログに書いた『レボリューショナリー・ロード』も手がけたサム・メンデスですが、今回のこの『エンパイア・オブ・ライト』は割と希望のある終わり方だったなぁと思います。

 

あらすじは以下。

厳しい不況と社会不安に揺れる1980年代初頭のイギリス。海辺の町マーゲイトで地元の人々に愛されている映画館・エンパイア劇場で働くヒラリーは、つらい過去のせいで心に闇を抱えていた。そんな彼女の前に、夢を諦めて映画館で働くことを決めた青年スティーヴンが現れる。過酷な現実に道を阻まれてきた彼らは、職場の仲間たちの優しさに守られながら、少しずつ心を通わせていく。前向きに生きるスティーヴンとの交流を通して、生きる希望を見いだしていくヒラリーだったが……。

 

映画.comより)

ヒラリーの心の闇が果たして過去のせいだけなのかはわからないですが、心のバランスが崩れて激昂した時の彼女は本当に怖かったです。私もさらに年を重ねてホルモンバランスや自律神経がもっとガタガタになったら、あんな感じに自分を抑えられなくなってしまうのだろうか・・・怖いです。どうしたらいいんだろう。

 

あと、なんていうか・・・微妙にハイになった中年女性って、見ていてハラハラしますね。ヒラリーが職場の映画館でのプレミア上映の日に急にステージに躍り出たシーンは冷や汗が出ました。何をやらかすかわからない不気味さが巧みに表現されていて、嫌なドキドキ感があり笑えました。

 

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職場の優しい同僚たちとか、もちろんスティーヴンとか、ヒラリーの生活に希望や潤いをくれる周りの人たちがいるおかげで、彼女は前を向けるわけですが、それは諸刃の剣でもあって、失われるとかえって一人でいた時よりダメージが大きくなる気もしました。期待するから絶望が深くなる。

 

でも、最後のヒラリーの受容と諦念が入り混ざったような絶妙な笑顔を見ると、やっぱりそれでも誰かと関わりながら自分の人生を模索する必要があるのかもしれないとも思わされました。

誰かのせいで心が乱れるけど、誰かのおかげで救われることもある。しかし本当は、他人はあくまでただの事象に過ぎなくて、結局は自分がそれをどう捉えるか、どう認識するかが全てなのかもしれない。最近そういうこともよく考えます。

 

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とにかく、情緒不安定な中年女性になることが怖いというのが第一印象の映画でしたが、映像もとても美しいし、うまく言語化できないけれど心に引っかかる何かが得られる作品でした。おわり。