れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

『明日クビになっても大丈夫!』

今月末で今の職場を退職することにしました。

それと直接関係あるわけではないんですが、先日Amazonでセールになっててなんとなく読んだのが、人気WEBライター・ヨッピーさんの著書『明日クビになっても大丈夫!』です。(私はクビになったわけではないです。)

明日クビになっても大丈夫! (幻冬舎単行本)

明日クビになっても大丈夫! (幻冬舎単行本)

 

ヨッピーさんのWEB記事は前から好きで、ヨッピーさんの話を聴いてみたくてGoogleのウェブマスターのセミナーに行ったり、高円寺小杉湯での銭湯オフ会に行ったりしていました。

この本も気になってはいたけれど、売り出してすぐは読んでませんでした。

 

私は、今の仕事(メディアの営業職)は「すごく嫌なわけではないけどずーっと続けるのは無理だな」と入社した頃からぼんやり考えていました。

それでも入社1年目の頃は目新しくて楽しくて、好きな先輩社員とかもいて結構いい感じだと思っていました。

雲行きが怪しくなってきたのは社内の部署編成が改変された2年目からで、新しい直属の上司が苦手だったり自社のコンテンツがつまらなくなったりして、ちょっとずつモチベーションが下がっていきました。

年末にある役員との面談で他部署への異動を打診するも聞き入れられず、それでも1年は待って昨年末あらためて異動を願い出るもやっぱりスルーで。

自分を採用してくれた時の役員もほとんど残っていないし(メディアによくある天下りシステムなので)、1年我慢してもダメなんだからもういいや、と1月に退職届を出しました。

 

引き継ぎの挨拶回りや有休消化をしながら、もう一度自分の考えを自分自身に問いただすようになりました。

私は何が嫌で今の会社を辞めるのか。私はどういうことがしたいのか。

本当の本音を言うと「労働が好きではない」の一言に尽きるのですが、入社したばかりの頃はそこそこ楽しく頑張っていたしなぁ、と、ちょっと悶々としていました。

 

そんな折に本書を読んで、めちゃめちゃ笑ったけど「わかる〜!」と共感したのが、【六本木の会員制バーには行くな】という見出しのくだりでした。

自分の実力や能力ではなく、運良く引っ掛けた輝かしい人脈(もどき)や功績(もどき)を高らかに振りかざしマウンティングする勘違い人間と飲まなければならない、不毛な酒場が”六本木の会員制バー”なのであると力説するヨッピーさんの事例紹介がラジオのハガキ職人並みに面白くて、さらにそのまとめの一文がとても腑に落ちました。

本音と建て前のうち、「建て前」で過ごしているとマジで色々と価値観の軸がズレていくような感覚に陥ってしまう。 

そして「だから、六本木で飲んではいけない。」とこのネタは締めくくられます。

 

これ、すっごく身に覚えありませんか?特に昔ながらの日本企業で働くサラリーマンの方。

私は外資系企業で働いたことはないので外資はよくわからないのですが、日本企業はそこそこ老舗のメーカーや零細企業や今いるマスメディア企業など、複数社で働いた経験があり、

その経験から言うと(昔ながらの)日本企業では建て前で過ごさないとかなり摩擦が起きると思います。

というか「ほぼ建て前でみんな働いてるんじゃないかな?」と思えるレベルです。私が今まで働いてた企業の多くはそうでした。バイト先も含め。

思い返すと、老舗のメーカーが案外一番先鋭的で、私も若くて元気だったので本音をガンガン言っていました。周囲の大人も優しかったのでわりとうまく回っていたかもしれません。

でも次に入った新しい零細企業でそれまでのように本音を言うと「大人なのにどうしてそうホントのこと言っちゃうんだ!」と激しいバッシングを受け、優しい女性先輩社員が”日本企業での建て前処世術”を丁寧に根気強く手ほどきしてくれました。

「変なのー」とは思いつつもそういうのが世の大人なのかととりあえず清濁合わせのみ、彼女の教えは今の職場でも大いに役に立ったのであります。

ちなみに、ここでいう本音とはどういうものかというと

  • 「車って維持費かかるし高いし一人暮らしとかそこそこの都会ならカーシェアとかで事足りますよね」とか
  • 「私は別に結婚したくないし子どもも産みたくないです」とか
  • 「昼寝ばっかりの天下りの役員切ればかなり経費削減できますよね」とか
  • 「社長、貴方が社員のカバン蹴っ飛ばして怒鳴り散らすとかおかしくないですか?それパワハラじゃないですか?」とか

そういうものです。

そこまで変なこと言ってるとは思わないんですけど、こういうこと言うと角が立つんですねぇ。

車いらないとか言うと車メーカーのクライアントが〜とか、子ども産みたくないとか言うと少子化対策に躍起になっている自治体クライアントが〜とか、まあ理由はいろいろあるのかもしれません。

 

前の職場で「お前は車も家もいらないというけど、車を作る会社やハウスメーカーからうちはお金をもらって食べていけてるんだ。だからお前は”車欲しい””家建ててみたい”って嘘でもいいから言わなければいけないんだ」と説教されたことがあります。

そういうもんかなぁとも思いましたが、結局車はやっぱり欲しくないし、家建てたいとも微塵も思わないんですよね。

結婚式場や自治体のクライアントともたくさん仕事しましたが、やっぱり結婚はしたくないし子どもを産む気も起きないです。

 

前述した今の職場の苦手な直属の上司も、話が全然面白くないですがリアクションを薄くすると厄介かもしれない系なので「へぇ〜知らなかったです」とか「すご〜い」とかとりあえず関心している風の相槌を返すようにしていました。

私は褒められたがり人間を察知する能力が結構あり、持ち上げられると喜ぶ人を目の前にするとついつい思ってもいない”褒め相槌”を炸裂してしまう悪い癖があります。

営業職に就いてからこの悪癖が加速してしまった気がします。まあ売り上げにつながるといえばつながるのですが、建て前で稼ぐとなんだか売春したような独特の疲労が訪れるのです。売春したことはないですが、岡崎京子さんが「すべての労働は売春である」と昔何かに書いていた記憶があり、まさにそうだなという感じです。

多分価値観がズレそうになる時のひずみ?みたいなもので疲れるんじゃないですかね。

 

そんなこんなで、「明日クビになっても大丈夫!」とはそこまで力強く思わないですが、共感できる記述が沢山ある良い本でした。

これからの未来は、多かれ少なかれ本音でやってけない仕事は無くなっていくんじゃないかと思うんですよね。AIとかロボットとかに置き換えられて。

だって、生身の人間の一番面白い部分に触れられるのはいつだって”本音”なんですから。おわり。