れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

海野つなみ先生のあとがきを読んで

以前感想を書いた『逃げるは恥だが役に立つ』が第39回講談社漫画賞を受賞したと、最新刊である6巻のあとがきを読んで知りました。

海野先生、おめでとうございます!

『逃げ恥』はもちろん、海野先生の作品は他にもいくつか読んでいて、どれも心に残るしストーリーも絵も独特。読んだ後いつも「す、すごい・・・」と感服してしまう面白さで、癖になる作家さんです。

作品以外は先生について特に存じ上げないのですが、今回出た逃げ恥の6巻のあとがきを読む限り、おそらく40代の独身女性なのでしょうか。

才能のある人というのはデビューして早目に注目される人が多いですが、私は18でデビューして特に大きなヒット作もなく、長い連載もさせてもらえず、隙間をぬって続けてきたような感じです。 

海野先生は十分すぎるほど才能に溢れていると感じますが、作品に時代が追いついていなかったのかもとは思いますね。

海野先生の作品って、どれも物事を多面的に捉えるというか、常識を疑うというか、そういう視点が多いと思うので、今になってようやく面白さが理解されるようになったのかもしれません。

 

そして思わず考えさせられたのが以下の記述。

自分が楽しいなあ、面白いなあと思うことをこつこつ続けて26年。このタイミングで賞をいただいて、なんだか、頑張ったね!と言われたような気持ちです。 

26年漫画を描き続けて今もまだ描きたいことがあるとは・・・本当に漫画を描くことが好きなんだなぁ、と今更ながら驚きました。

26年って、私の生まれてから今までの人生より長いですよ。

私は25年間、あれやってこれやって、あれも違うこれも違うといまだにフラフラしているわけですが、私だって「自分が楽しいなあ、面白いなあと思うこと」をこつこつ続けて生きたいです。

 

そこであらためて、私の"楽しい・面白い"と思うことって何かな?と考えてみました。

電車旅、写真を撮ること、アニメを観ること、歌うこと、ピアノを弾くこと、音楽を聴くこと、本や漫画を読むこと、料理、絵を描くこと、数学を教えること、文章を書くこと、ホームページをつくること、食べること・・・。

アニメを観ることや音楽を聴くこと、本や漫画を読むことと食べることは消費行動なので、それを除いたものの中で「これで食べていく!」と定まるようなものがあればいいのですが、なかなか定まりません。

また、もしかしたらこれら以外にピッタリなものがどこかにあるのかもしれません。

まあむしろ消費するだけ消費してだらだらできたらそれこそ天国なのに、と思う気持ちもあります。ニート最高、みたいな気持ちが。

でも、このブログを始めたのもちょうどニートをしていた頃で、結局何もアウトプットしない人生なんてないんですよね。きっと。

何もやらずにすむ環境であっても、人間ってたぶん何かせずにはいられないんでしょう。

ぼんやり好きな本を読んでるだけでも、何か書きたくなったりするし、ふらっと散歩してるだけでも、ふと出逢った美しい景色を写真に撮って誰かに見せたくなる。人間ってそういうものなんだろうなって思います。

・・・ただ、書くことや撮ることにそこまで没頭できるかというと、正直微妙ではあるんですよね。

一番集中できるし没頭できるのは、なんだかんだで音楽系だとも感じます。

吹奏楽や合唱をやっていたときの、あの無我の境地。

数学やってるときも同じでしたが、今更数学を究める気力はありませんし。

こうして"好きなことをして生きてくこと"について考えていると、いつも袋小路に入ってしまいます。

はぁ。

こんなときは、お風呂に入って面白い漫画を読みながら寝るとか、美味しいものを食べながら面白いアニメを観るとかして、自分のご機嫌をとるのが一番ですが・・・なんだか少し悲しい秋の夜長であります。おわり。

セクシャリティ問題とファンタジー、『恋する暴君』

純情ロマンチカ』にハマって以来、順調にBL趣味に走っています。。

純ロマの中村春菊先生の作品は、絵も可愛い系で話のテンポもコミカルで、必ず1話に1回セックスシーンがあり、どちらかというと1話完結型です。

だからサクサク読めるし、セックスシーンもそこまでエロく感じない、まさにファンタジー的なBL作品なんですね。登場人物がみんな妖精系男子というか。

 

対して今日とりあげる高永ひなこ恋する暴君』は、もう少し大人のエッセンスが入った、ドキッとする作品です。

恋する暴君 コミック 1-10巻セット (GUSH COMICS)

恋する暴君 コミック 1-10巻セット (GUSH COMICS)

 

実は「BLってなんか面白いな」と感じ始めたきっかけのひとつが、『恋する暴君』のOVAを観たことだったりします。

数年前、夜中にいろんなアニメを無作為に鑑賞していて、BLだと知らずにテキトーに観始めたんですね。

そのとき、BLがこんなに笑えて、なおかつドキドキするものなんだと初めて知りました。

それからだいぶ時が経ち、今回原作を1から読み始め、まさかここまでだだハマリするとは思っていなかったです。

 

農学部修士学生・森永哲博は、博士課程の先輩・巽宗一に5年も片思い中のゲイです。

先輩は過去に色々あり「ホモ嫌い」を標榜する気性の激しい変わり者。そんな"暴君"ながらも根は優しく人一倍気を遣う宗一に、自身がゲイであることと、宗一をずっと好きであることをカミングアウトしたのは1年前で、気持ちを受け入れられることはなかったものの、それまで通りそばにおいていてくれる宗一に、森永は感謝と苦悩を同時に募らせます。

そんなある日、友人であるゲイバーの店員・ヒロト君に相談するとあやしい催淫ドリンクを渡され、既成事実を作ってしまえとそそのかされます。先輩にそんな事ができるわけがないと捨てかけますが、ヒロト君の使用後の感想が思い出され、捨てきれずに結局自宅に持ち帰ってしまいます。

森永はタンスの奥へとそれをしまい込みましたが、その後たまたま森永の家で酒盛りすることになった宗一が、酔ったノリでそのドリンクを勝手に見つけて飲んでしまいます。

催淫ドリンクを飲んだ直後はなんともなかった宗一ですが、夜中に目を覚ますとクスリの効果がてきめん状態に。

酒の飲みすぎで具合が悪くなったと思った森永は宗一を介抱しますが、宗一の体の変化に気づいた森永は、理性を保てなくなり、とうとう宗一を抱いてしまいます。

 

宗一はその後、自分が男に抱かれた事実にうろたえ、森永に激しく怒ります。

森永は絶望に打ちひしがれ、宗一の前から姿を消し、大学を退学しようとします。

宗一は森永が姿を消すと、自分が抱かれた怒りとは別のイラつきが自分を支配していくことに戸惑い、森永に居なくなってほしくないという気持ちに気づきます。

そして、森永を退学させない手段として、森永とのセックスに応じていく宗一・・・。

それから、恋人でも友達でもない、摩訶不思議な2人の関係が始まります。

一緒に生活する中で、森永は「ひょっとしたら先輩も自分のこと・・・?」と感じる瞬間が何度かあり、その度に期待とそれを打ち消そうとする気持ちでごちゃごちゃになります。

一方宗一も、「ホモは大嫌い」という気持ちと「森永は嫌じゃない」という気持ちに上手く折り合いがつけられずモヤモヤする日々。

 

宗一の不器用さと森永の優しさがすれ違い、ある日とうとう2人の関係が終わりかねない大きな喧嘩をします。

森永はこれまで抱いてきた淡い期待が結局すべて幻想だったのかと絶望しましたが、周囲の人々からいろいろな事実を聞かされ、宗一が心の底から森永を嫌がっているわけでないことを知ります。

そして宗一は、森永と距離を置く中で自分は森永とどうなりたいのか、森永をどうしたいのか自分に問うようになります。

そして、森永がもう一度きちんと宗一と話し合おうとする場面で、宗一の気持ちがついにあふれ出します。

「オレのこと幸せにできるのは先輩だけですから・・・」

「・・・・・・ッ

・・・い

・・・いいかげんな・・・こと言うな・・・・・・!!

(中略)

お前は・・・いっつもそうだ・・・!!

センパイセンパイって寄ってきて・・・こっちのテリトリーまで入り込んで来るくせに

何かあるとすぐ黙っていなくなろうとする・・・!!」

「それは・・・

先輩の気持ちが解らないから・・・オレだって不安になる・・・

そばにいていいか解らなくなるんです・・・」

「なんでわかんないんだよ!

オレはホモが嫌いだ!!

けどお前は・・・

お前にだけは・・・オレは今までどうしてた!?

このオレがなんでそこまでしてるか・・・なんで・・・

 

お前にいて欲しいからに・・・決まってるだろ・・・!!」

「えっ・・・」 

思わず叫んだ後に、自分でもびっくりした宗一。

そして、自分は森永にそばにいてほしいのだという気持ちに、やっと気づいたのでした。

 

もう、このシーンが本当に笑えて泣けて切なくて愛しくてたまりませんでした。

何かあるとすぐ手だの足だの出す乱暴者で、研究に没頭すると寝食を忘れる変わり者で、口も悪いし素直じゃない宗一が、

顔を真っ赤にして森永になんとか自分の気持ちを伝えようと四苦八苦するさまは、まさに「恋する暴君」。

タイトルがここまでピッタリな作品はなかなかないです。

そしてまたこの宗一が、濡れ場になると色っぽくて仕方ないんです!

長髪なのも手伝って、とにかくセクシー、お色気ムンムン。

思わず唸る宗一の色香は必見です。

 

恋する暴君』は大体1冊に1回くらいの頻度でセックスシーンが入ります(スピンオフ作品など除いて)。なので純ロマなどに比べると、必ずしもいっぱいあるわけではないのですが、

その分詳細で繊細な心理描写がふんだんになされており、同性愛ならではの心の機微がよく描かれています。

BLはしばしばファンタジーとして扱われ、実際の同性愛とはセックスの手順も違っていたり、やたら体毛がなかったりして、

登場人物の男子たちはリアルの男性というよりはむしろ妖精に近い存在だと思うのですが、

恋する暴君』はリアル男子と妖精の間くらいの印象をうけました。

BL特有のファンタジー加減はあるものの、

読む中で自身のセクシャリティを顧みるようにもなるというか、

性のあり方・考え方をもう一度再考せざるをえない部分があります。

 特にハッとしたのは、第8巻での森永とその兄の会話です。

森永の兄は長年自分をノンケだと思っていた人で、普通に異性と結婚したけれども上手くいかず、そんなとき昔の親友・真崎(ゲイ)と再会して自分の本当の性嗜好に気づき始めます。

どうしていいかわからない森永兄は、身内のゲイである弟に思っていることをそのまま相談します。

「お前は・・・

明日から女性を愛せと言われて 出来るのか?出来ないだろ・・・・・・・・・!

セクシャリティーを超えるのは簡単なことじゃないぞ

時間がかかるのは当たり前じゃないか・・・!」

「・・・・・・っ」

「オレだって怖いんだ・・・

今までの 自分を丸ごととりかえるような・・・

それでも分かちあいたいと思うのは

真崎のこと大切だから・・・・・・」

兄の話を聞いた森永は、宗一も同じような気持ちなのではないかと思い至りました。

私はこの部分を読んで、自分が女性に恋愛感情を抱く可能性について考えてみました。

私は今のところ異性しか好きになったことはありませんが、それ以前に自分が女性であるということにいまだに納得しきれていない部分もあります。

一時期ずっと男の恰好をしていたのですが、そのときの方が気持ちも身軽だったしリラックスできていました。

でも、そのときも好きになった(恋愛感情を抱いた)相手は男性でした。

この先強く心惹かれる相手がもし女性であったら、私はどう振舞うのか、なんだかうまくイメージできませんでした。

好きな相手の性別と、自分の性自認

時代と考え方が現在進行形で変わってきているとはいえ、まだまだマイノリティの苦悩は続くなぁ、と改めて感じました。

 

まあ、そんな難しいことを少し考えつつも、

恋する暴君』は笑いと色気と愛に溢れた名作であることは間違いないです。とってもおすすめです。

「カッコ良くて男前で可愛くてっ色っぽくてっナイスバディでフェロモンだだもれ」の巽宗一を是非ご覧ください!!!おわり。

曲がいい”れるりり”

最近よく聴く音楽に、れるりり氏の音楽があります。


Headlong Girl - rerulili feat.miku&gumi / 猪突猛進ガー ...

ボカロの曲で一番大好きなのはじん(自然の敵P)の作品なんですけど、れるりりもかなりいいです。

じん(自然の敵P)はロック色が強いですが、れるりりはもう少しクラブミュージック寄りです。

メロディラインと楽器選択のセンスが特に好きです。ピアノのメロディがジャズっぽくてとても印象的です。スピード感もスカッとする感じがいい。

結構エロめな歌詞が言及されることが多いれるりり作品ですが、ボカロの曲はわりと中2な雰囲気があるので、そんなに私は気になりません。

 

アルバムもいくつか出ており、一通り聴いてみましたが、個人的には正直捨て曲が多かったです。

なんというか、いいと思う曲とそうでない曲の差が大きいと感じました。

それでも、いい曲が凄く完成度が高いので、やっぱり才能を感じます。

脳漿炸裂ガール

脳漿炸裂ガール

  • 発売日: 2013/10/09
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

伊藤歌詞太郎さんの「脳漿炸裂ガール」はさらにシビレます。 

 

歌詞と曲のマッチ具合が最高にいいのは「厨病激発ボーイ」。


Young disease outburst Boy - rerulili feat ...

この曲、かっこよくてかっこわるくて笑えて踊れるすばらしい曲だと思います。

今日も仕事中にたびたび口ずさんでしまいました。気分が軽くなります。

 

そんなわけで、また気になる音楽家が増えました。

『純情ロマンチカ』

1か月ほど間があいてしまいました。連日猛暑で、すっかり夏まっさかりですね。

夏はどうにも引きこもって漫画を読みたくなります。今ハマっている漫画はこちら。

純情ロマンチカ コミック 1-23巻セット

純情ロマンチカ コミック 1-23巻セット

  • 作者:中村 春菊
  • 発売日: 2018/12/08
  • メディア: コミック
 

ボーイズラブ作品は数えるほどしか読んでいなかったのですが、いやあ、面白いです。

いたいけな大学生男子・高橋美咲が、兄の親友で人気作家の宇佐見秋彦とひょんなことから恋人同士になる、歳の差・同性愛ストーリーです。

昔からアニメやドラマCDになっていて、その筋では知らない者はいない超人気作ですね。

今年の夏アニメでちょうど今第3期が放送中で、私は前作もざっくりとしか観ていなかったのですが、あらためて視聴したら面白くて、原作に手を出してみたのです。

アニメでは描写がだいぶ抑えられていますが、原作はもっとエロいです。激しいです。

でも、だからこそより愛を感じるというか、読んでいてつくづく「ああ、愛だなあ」と噛みしめることができます。

 

秋彦は、最初は親友であり美咲の兄でもある孝浩に長年片想いしていました。

好きだけど、大切な親友で、その関係を壊したくないから打ち明けられない、行き場のないつらい恋でした。

そんな中、孝浩の頼みで美咲の家庭教師をすることになる秋彦。

美咲と秋彦は互いに第一印象は最悪だったものの、美咲が秋彦の家に通い続けるうちにだんだん打ち解けます。

そこに孝浩の突然の結婚発表。親友である秋彦に一番に伝えたかったという孝浩に、秋彦の秘めたる思いをよく知る美咲はいたたまれなくなり、秋彦とその場を飛び出します。

兄の無神経さと秋彦の失恋に泣きじゃくる美咲を見て、秋彦は美咲に強く惹かれていきます。

そして美咲の大学進学と同時に孝浩の大阪転勤が決まり、兄以外に身寄りのない美咲は秋彦の好意で宇佐見家に居候することに。

一つ屋根の下で、秋彦は美咲をあの手この手で自分のものにしようとします。

 

この漫画の一番の魅力は、秋彦の美咲への「好き」という思いの強さだと感じました。

しょっちゅう好き好き言うし、すぐにキスするし手を出すし、やりたい放題な秋彦ですが、実は非常に感受性が強くて脆くて神経質なんですね。だから作家という職業なんだろうとも思います。

美咲が大好きでずっと手元に置いておきたいけど、美咲が嫌がることは決してしたくない。まだ若く可能性に満ちた美咲の将来を邪魔したくない。美咲を束縛したい(実際しているけど)気持ちと、きちんと信頼して美咲自身に選ばせたい気持ちがいつもせめぎ合っていて、何かのきっかけですぐに情緒不安定になってしまう秋彦を見ていると、物凄く愛おしい人だなと感じます。

一方の美咲も、最初はゲイであるということに抵抗がありますが(今も)、秋彦の真摯な思いを浴び続け、また一緒に暮らす中で秋彦のいろんな弱さや脆さに触れて、いつしか心から秋彦を大切に思うようになります。

人気作家で名家の子息でもある秋彦には、社会的な立場や複雑な家庭事情もあり、美咲は自分の存在が秋彦に迷惑をかけることをとても恐れていて、そこも少しのアクシデントですぐにほころびが出てしまう。

こうして美咲と秋彦それぞれに抱える不安や問題があり、それを繰り返し修復しながら愛情を深めあう二人を見ていると、敵わないというか、これが人を好きになるってことかなと思うんです。

 

もしこれがボーイズラブじゃなくて、普通の異性愛の話だったら、そんなに感銘をうけないんですよね。

今回あらためてこの作品を読み込んで、世の乙女たちがどうしてこれほどまでにBLにハマるのか、少しわかったような気がしました。

たとえ相手が同性でも、それでも抑えられないほど強い「好き」という気持ちって、多分周囲に何を言われても、世界中に反対されたとしても曲げられないくらいの情念なのでしょう。心の底から「この人と一緒にいたい」という思いなのでしょう。

周りが皆結婚しているから婚活するとか、周りが皆彼女居るから自分もほしいとか、なんとなく老後に一人だと淋しいから伴侶がほしいとか、そんないいかげんな考えとはかけ離れた強い思いなんですよね。

世の中の人が皆一人で生きていたとしても、自分はこの人と一緒じゃなきゃ嫌だってくらいの強烈な気持ちなんでしょう。

 

私はいままで異性しか好きになったことはありませんが、たとえばその人がもし自分と同じ性別でも好きになったかと問われれば、おそらくノーだと思います。

憧れたりはしたかもしれないけど、きっと恋愛感情はもたなかったでしょう。

所詮遺伝子の陰謀なんですかね?

秋彦や美咲くらい、誰かを強烈に好きになって、誰かに猛烈に好かれてみたい、少しそんな気分にしてくれる作品です。

秋彦が美咲を抱くときの、愛おしそうな何とも切ない表情がたまりませんよ。おすすめです。おわり。

 

純情ロマンチカ Blu-ray BOX

純情ロマンチカ Blu-ray BOX

  • 発売日: 2015/06/26
  • メディア: Blu-ray
 

アニメはギャグとして面白いです。

やむなし。『お慕い申し上げます』

今日は仕事で上手くいかない事があって、職場で泣いてしまいました。

トイレで、ですけど。

本当は泣きたくないです。泣くと気持ちが昂って落ち着かなくなるし、冷静じゃない状態はあまりいいものではないと思うので。

一刻も早く落ち着きたくて、合掌して唱え続けました。

「やむなし」と。

今回ご紹介する漫画、朔ユキ蔵『お慕い申し上げます』は、田舎のお寺を舞台にした仏教の漫画です。

 

主人公の佐伯清玄(29)は田舎寺「祥願寺」に生まれ、僧侶となり、このまま生家を継ぐつもりでいます。さらに清玄は、立派な僧侶となるために、妻帯はしないと心に決めています。しかしそんな心とは裏腹に抑えきれない性欲に悶々とする日々。

そこへ檀家さんの紹介で見合いをすることになった元・マラソンの世界的ランナー清沢節子(29)がやってきます。かつて憧れていた美女が目の前にあらわれ動揺するも、必死に自分の信念を貫こうとする清玄。

一方節子は、陸上界でずっと勝てなかったライバル・山本恵への妬み嫉みに塗れ辟易する生活から抜け出したいともがいていました。陸上界から離れ、このまま寺に嫁入りするつもりでいた節子は、清玄の考えを知りショックを受けます。

そこで節子は、清玄の祖父であり大僧正である佐伯峰博(89)に頼み込んで、峰博の弟子として寺に住まわせてもらうことにします。

清玄の婚約者としてではなく、仏の教えを乞いに来た峰博の弟子として寺で生活することになった節子に、清玄は戸惑いながらも仏教の教えを伝えていきます。

そんな中、祥願寺の知り合いの寺の手伝いから1年半ぶりに帰ってきた、清玄の幼馴染で同じく僧侶の高木清徹(29)。昔からデキよし顔よしでモテる清徹に、なんだかんだで警戒心が隠せない清玄ですが、2人は幼い頃から互いを分かりあえる親友同士でもあるのです。

清玄と清徹と節子の三角関係と、そのまわりで起こる様々な変化、そしてそれらの中で気づかされる仏教の教えを、巧みに描いた作品です。

 

最初は清玄をちょっといいかもと思っていた節子ですが、ある日ふとしたきっかけで清徹が彼女にキスをしてしまい、それから徐々に節子の気持ちは清徹へ向いていきます。

思わせぶりな行動をしながらも、節子には絶対靡かない清徹に、節子の心は乱されていきます。

そんなある日、認知症が始まった峰博が野山で行方不明になるという事件が起きてしまいます。

皆で捜索する中、ついに節子は峰博を見つけ、峰博をおぶって帰るのですが、そこでの峰博の教えが大変心に沁みるのです。

「節子さん 諦めるのじゃ」

「あきらめる?」

「といっても断念するとかではないぞい

教の教えで『諦める』とは

『物事を明らかに 見極め 知る』ということじゃ

とても大切な言葉じゃよ」

(中略)

「真実を知り 原因を明らかにする

さすれば 己の振る舞い方も見えてくる

生老病死

人が逃れられぬ苦しみじゃ

ワシは老いた

器だけではなく頭も老いた

老いを老いとして認めねば

後から大きな老いに自分が追いかけられることになる」

「理屈ではわかっても ・・・とても難しいです」

「そこで形の出番じゃよ

口の端を上げて ニッコリして言ってみる

 

止む無し

 

無常の世に生まれてしまったのだから仕方ない

老いも止む無し じゃ

しかめっ面ではいかんぞ

ニッコリが肝心じゃ

さぁ節子さん やってみなされ」

「やむ・・・なし」

「うーむ まだ固いのう」

「すみません」

「何度もくり返してよい『形』のクセをつけるのじゃ

後には心も追いついてくる」

この漫画のキーワードともいえる言葉が"無常"です。

世の中に変わらないものは何もない、ということです。

すべてが絶えず変化する無常の世において、いつも物事をあるがままに見つめ、受け入れることができたら・・・。

現実はなかなか上手くいかなくて、

今日の私みたいに思い通りにならない自分に悔しがって泣いたり、変化が怖くて立ち止まって動けなくなってしまったりするのですが、

そんなとき、しかめっ面したり泣き顔になっていたら、

一度ゆっくり深呼吸して

両手を合わせて

口角を上げてニッコリほほ笑み

静かに唱えるのです。「止む無し」と。

すると峰博和尚の顔が浮かびます(あれ?)。

まずは形から入るのです。

いつか心が追いつく日を待ちながら。

 

この漫画はストーリーも非常にドラマティックで笑いあり涙ありですが、

その中で仏教についても学べるお得なお話です。

日本人は自分が仏教徒であるなどと普段意識する方は少ないと思いますが(私もそうでした)

この漫画を読んでみて、確かに私はキリスト教イスラム教というよりは明らかに仏教だなあと感じました。

そんなに仏教教育を受けた覚えはなかったのですが、

やはり仏教の教えが自分の中では一番しっくりくるような気がしたのです。

皆さんもぜひ一度、自分の中の仏教徒を発見してみてください。おわり。

最高に面白い西洋の歴史、『チェーザレ 破壊の創造者』

ここ数カ月、だだハマりしている漫画があります。

それは、惣領冬実チェーザレ 破壊の創造者』!

チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス モーニング)

チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス モーニング)

 

ルネサンスのイタリアを舞台にした歴史漫画で、主人公はこの時代の代表的な軍人・政治家のチェーザレ・ボルジアです。

史実にところどころフィクション・ドラマを織り交ぜながらも、この時代を非常に緻密に描いている漫画です。

 

あらすじは以下。

1491年11月、ピササピエンツァ大学に16歳の青年アンジェロ・ダ・カノッサ編入してきた。大学での講義の最中、周囲の空気を読めないアンジェロはその言動によってメディチ家の子息・ジョヴァンニの面子を潰してしまう。その仕返しに、ジョヴァンニに誘われた馬の遠乗りでアンジェロは騎乗している馬を暴走させられ、崖に落ちそうになる。だが、その寸前に一人の青年に助けられた。彼こそが名門貴族ボルジア家の後継者、チェーザレ・ボルジアであった。

当時のイタリアは周辺の列強諸国による干渉にさらされ、またカトリック教会も権力闘争の場となっており、800年に渡って繰り広げられたイベリア半島再征服運動(レコンキスタ)の完了を目前とした激動の時代が始まろうとしていた。そのような中、1492年、時の教皇インノケンティウス8世崩御とそれに伴う次期教皇選挙(コンクラーヴェ)が始まる。チェーザレは父ロドリーゴ・ボルジアやメディチ家、ラファエーレ・リアーリオ枢機卿などと手を組みながら権謀術数を駆使し、自らの理想を実現するための戦いを始める。

(Wikipediaより)

 

読み始めたきっかけはおなじみのAmazon無料本キャンペーンです。

私は昔から歴史はめっぽう弱くて、大学受験でも地理を選択しており、世界史については一般人以下の知識しかありませんでした。

チェーザレのことも名前すら知りませんでした。

初めは"枢機卿"やら"教皇"やら、知らない言葉だらけだったのですが、

物語が進むにつれてどんどん世界観にのめり込み、続きが気になってしかたなくなりました。

 

主人公のチェーザレは眉目秀麗、頭脳明晰ないい男で、これがまた惣領さんの繊細かつ美しい画力で描かれていて最高に綺麗なのです。

チェーザレの妹・ルクレツィアの麗しさも必見です。

建物も馬も、すべての描写が丁寧で圧倒されます。

そして何より物語ひとつひとつが非常に濃厚で、一冊一冊がものすごい読み応えです。だから長く楽しめるのです。

そしてスペインもフィレンツェもピサも、どの立場にいるキャラクターもそれぞれ細かく描くことによって、出来事が多面的にとらえられます。

また、キャラクターがどんどん魅力的になっていくんですよ。

フィレンツェの名家であるメディチ家の次男・ジョバンニなんて、はじめはツンとしたちょっと嫌味な奴だったのに、今では愛すべきぽっちゃり君といった趣です。とってもかあいいやつなのです。

ジョバンニを見ていると、人間は挫折しながら大きく成長するのだなぁと納得します。

Wikipediaをサーフィンして知ったのですが、なんとジョバンニ、将来教皇になるのですね。胸熱ですよ。ロレンツォ(ジョバンニの父)が病床で、ついこのあいだ枢機卿になったばかりのジョバンニが、教皇になる夢を見たと言って死んでゆくんですが、まさに予知夢なんですね。史実を知っているとさらに泣けます。

 

ああ、なんだか登場人物ひとりひとりにフィーチャーして、個別にエントリが書きたくなってきました。

面白い登場人物が多すぎるのですよ!

歴史音痴の私でも知っている人物もよく出てきます。マキャベリとかミケランジェロとかレオナルドダヴィンチとかコロンブスとか・・・

名前と作品くらいしか知らなかった偉人たちが、どんな世界でどんなふうに生きていたのか垣間見ることができるというのも、この作品の大きな魅力ですね。

 

絵の美しさ、物語の面白さと奥深さ、魅力的な登場人物たち、

すべてが最高レベルの傑作漫画です。

読み応えのある人間ドラマを読みたい方、今一番のおすすめです!おわり。

 

 Kindleまとめ買いしようかな。。

程良くノリのいいバンド"KEYTALK"

先週職場でディレクターさんがオススメしていた曲がなんだか頭の片隅に残っていて、先日一通り音源を聴いてみたバンド、"KEYTALK"。

ノリのよいかっこいいバンドだと思います。

ディレクターさんが特に熱く語っていたのは「MABOROSHI SUMMER」という曲です。


KEYTALK "MABOROSHI SUMMER"【PV】 - YouTube

KEYTALKにはテンポがころころ変わる曲が結構ありまして、これもその一つ。

この曲があったからこそ今のKEYTALKがあるのだとディレクターさんが感慨深げに語っていました。そうなんだ~と聞き流してしまいましたが・・・今年の10月に日本武道館でライヴをするということですから、なるほど勢力を拡大してきましたね。

このPVを観てギターの小野武正氏が好きになりました。いいキャラしてます。

 

今日、仕事中に車のラジオから流れてきた「MONSTER DANCE」もノリノリでいいですね。テンションあがります。


KEYTALK/「MONSTER DANCE」MUSIC VIDEO - YouTube

このお祭り感が好きです。

 

どの曲もメロディが独特で中毒性がありつつも、非常にポップで、ヴォーカルの声もそこまで癖がなくて聴きやすいです。

ドラムやギターのリードも華やかで、しかし五月蠅くはなく、とにかく気分が盛り上がるナンバーが多いです。

同世代でこういういいバンドが出てきて、とても嬉しいです。

いつか生で観てみたいと思います。おわり。