れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

『彼女とカメラと彼女の季節』

このあいだ久々に夢中になって読んだ漫画、『彼女とカメラと彼女の季節』。

Kindleで1巻が無料だったのですが、面白くて5巻まで購入してしまいました。

最近BLをよく読んでいましたが、こちらはどちらかというと百合です。

あらすじは以下。

高校3年生になった春、深山あかりは、代わり映えしない日常と窮屈なトモダチ関係に、違和感を覚えていた。しかし、二眼レフを携えたクールな美少女・仙堂ユキと出逢い、くすんだ毎日が、とたんに輝き始める。奔放なユキに振り回されるうち、あかりの「好き」という気持ちは次第に高まっていく……。

(講談社コミックプラスより) 

物語の舞台は岩手県盛岡市で、豊かな自然がとてもよく描かれています。

私は盛岡は電車で通りかかって少し途中下車したことしかないのですが、この漫画を読んで旅行したくなりました。

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まず、物語の主軸となる3人のキャラクターがとても魅力的でした。

深山あかりは顔は可愛い系、性格は地味だが家庭環境があまり裕福でないこともあって卑屈な一面があります。

仙堂ユキは個性的な美人でカメラ・写真狂です。写真のことばかり考えているけれど、その奥には仕舞い込んだ強い感情があり、本人はそれを忘れています。天才肌で奇特だけれど、素直で憎めないタイプ。かっこいいですね。

そしてそんな二人の女子に翻弄される野球少年・香川凜太郎。幼いころユキと義理の兄妹だった過去があり、現在もユキを気にかけています。あかりのことがずっと好きで、屈託なくアタックするさわやか少年ですが、自分のその外面のよさに少し思うところもあるようです。勉強もよくできるし、気配りもできるすばらしいイケメン。

 

3人とも凄く好きで、でもやっぱりユキが1番好きです。

美人だし、「私にはこれしかない」っていう迷いのなさがかっこいいし、性格もさっぱりしていて、憧れます。

 

ユキの1番好きなエピソードを思い出したのでご紹介します。

あかりがだんだんユキと一緒にいる時間が長くなって、かつてあかりがつるんでいた女子のグループが、面白くないのかユキにちょっかいを出すんです。

あかりのところにユキがくると「カップル2人おそろいで♪」「結婚式はいつですかぁ?」と冷やかすのですが、その低俗ぶりにあかりがげんなりしていると、

ユキはひらめいたように鞄からある写真を出します。

その写真は・・・先日あかりがユキの家に泊まりにいった日、ユキがあかりの入浴中に乱入してふざけて撮った2人のキスショットでした(とても色っぽいんですこれが)。

からかっていた女子たちはその写真に大騒ぎして「何!?やっぱり2人っていつもこういうことして遊んでんのー?」「マジだね!!」「えーでもなんか絵になるっていうか」「写真カッコいいかも!」と調子に乗り、

そしてあつかましくも「私たちのことも撮ってよ仙堂さん」などと言い出す始末。

ついにあかりがキレるかというところでユキの名台詞

ブスは撮らない

に爆笑しました。

「いいでしょこれ」とキスショットを得意げに見せると上機嫌で去っていくユキに、あかりはもう「ユキしかいらない」と思うようになるのでした。

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凜太郎はあかりが好きで、あかりはユキが(性的に)好きで、ユキは実はずっと凜太郎が好きという構図が、物語が進むに連れてどんどん捩れて縺れていきます。

それぞれに傷つけあい、でも惹かれあって、結局大人になってもお互いを思いあっているという、とてもいいラストで、読後感もとてもよかったです。

 

やっぱり同性愛ものを読むと、「好き」って気持ちが純粋に心に入ってきていいなと思ってしまいました。

凜太郎も本当にいい奴だと思うけれど、凜太郎があかりを求める気持ちとあかりがユキを求める気持ちを並べると、どうにもあかりを応援したくなってしまうんです。

最近この傾向が非常に強くて、でも自分は同性を好きになることはほぼなさそうだし、この不協和がたまに気持ち悪いです。

でも、男性を好きになれないなぁ。

 

あと、この漫画を読んだらカメラがほしくなってしまいます!

一眼と二眼、両方ほしいです。おわり。