れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』を観ました

アニメ『輪るピングドラム』が放送されてから10年が経ったそうで、総集編ないしリマスター版とも呼べるような劇場版が公開されました。

penguindrum-movie.jp

総集編的な劇場版アニメは基本的にどんなに好きだった作品でも観ることはないのです。だって初めて観た時以上の感動なんてきっとないと思いますし。

 

しかし、『輪るピングドラム』は今まで観た数々のアニメの中でも特に印象深い作品ですし、気になって見てみたTwitterの人々の感想もおおむね好意的なものだったので、映画館に観に行くことにしました。

 

改めて観てもやっぱり面白いストーリー、魅力的なキャラクター、作り込まれた美しい世界観が本当に秀逸で、観てよかったと思いました。

それと同時に、やはりとても懐かしくて、TVアニメ放送当時のいろんなことを思い出しました。

 

当時の私は大学4年生でした。

卒論をぐだぐだやりながら、就職活動もせずアニメばかり観て本と漫画ばかり読んで、生産的なことは何もしていない学生でした。

塾講師のバイトで受け持っていた男子高校生と、毎週のように『輪るピングドラム』の最新話の感想を言い合ったりして(勉強しろ)、思い返せばささやかながらも幸せだったような気がします。

当時の日記を読み返すと、全然幸せそうなこと言ってないんですけどね。私の日記は結局のところいつもそうです。

幸せそうなことは何も書いてない。それでも、思い返すと幸せだった気がするから不思議です。

 

今回の劇場版(前編)で、冠葉が陽毬に口付ける場面が一番ドキドキしました。

TVアニメ版の第1話を観た時も、エンディングに入る前の陽毬の枕元の冠葉の独白が一番ドキドキしてた気がします。

冠葉の、妹への常軌を逸するほどの熱い愛情は、何度観ても胸に迫るものがあります。なんていうか、真っ赤なラブストーリーって感じ。

きっとTVアニメ版を観ていた21歳の私は、誰かに冠葉くらい強く愛してほしかったんだと思います。若くて飢えてたのだと。

そして32歳の今も、相変わらず飢えているのです。愛や、夢や、希望に。だから同じ物語に同じように心奪われる。

作品を通して、自分の精神の無成熟さを痛感し直すという。苦笑です。

 

きっとないですが、たとえばまたさらに10年後に『輪るピングドラム』に何かの形で触れることがあったら、私はまたTVアニメ版を観ていた大学4年生の夏を思い出すし、さらには都会で一人寂しく暮らしていた32歳の春のことも懐かしく思い出すと思います。

きっと今までと同じように、愛や夢や希望に飢えた薄暗い気持ちで、それでも映画館から出たときに目に映る街の景色を、美しいなぁとか思うのです。

生き延びていたら、の話ですけどね。おわり。