久々に声出して号泣したアニメ『王様ランキング』。
1話目から、観るの辛いなぁと感じていたんですが、2話で完全に涙腺崩壊しました。
あらすじは以下。
国の豊かさ、抱えている強者どもの数、
そして王様自身がいかに勇者のごとく強いか、
それらを総合的にランキングしたもの、それが〝王様ランキング〟である。
主人公のボッジは、王様ランキング7位のボッス王が統治する王国の
第一王子として生まれた。
ところがボッジは、生まれつき耳が聞こえず、
まともに剣すら振れぬほど非力であり、
家臣はもちろん民衆からも「とても王の器ではない」と蔑まれていた。
そんなボッジにできた初めての友達、カゲ。
カゲとの出会い、そして小さな勇気によって、
ボッジの人生は大きく動きだす———— 。
(アニメ公式サイトより)
耳が聞こえず、口もきけないボッジにも、王になりたい野望はあるし、そのために自分なりに努力もしてきたんですよね。
自分を愛してくれた母や父に報いたい気持ちも当然あります。
義母のヒリングをはじめ、ボッジの生来の素直さやひたむきさに惹かれて彼を慕う人たちも多い。けれど肝心なところで、ボッジの本当の願いや考えは周囲の人間に理解されないんです。
伝えたい思いがあるのに、分かってほしい気持ちがあるのに、こんなにも理解してもらうことが難しい。
こんなにも伝えることが難しい。
ボッジやカゲの、「相手にわかってもらえない辛さ」に胸が締め付けられて、すごく惨めで悲しい気持ちになって、それでも立ち向かうボッジたちの強さに心を打たれて嗚咽が止まらなくなりました。
アニメの第三話あたりで、ボッジの腹違いの弟・ダイダがはっきりと「兄さん(ボッジ)は惨め」だというんですよね。我々視聴者の気持ちを代弁するように。
ボッジを見ていて感じるいたたまれなさというのは、すごく目を逸らしたくなる感情なんですが、きちんと観察して向き合った方がいい気持ちでもあると思いました。
あの焦ったい感じをどう表現したらしっくりくるのか・・・。
ボッジは聾者です。世の中に耳が聞こえない人はたくさんいるし、彼ら・彼女らと対峙しても惨めだなんて感じることはありません。
でも、ボッジが他者に伝えたい強い気持ちがあって、それをなんとか伝えようと言葉にならない声を唸るとき、私はとても胸を抉られるような気持ちになってしまうんですね。
手話で理路整然と話されると、多分そこまで差し迫った感情は起きないと思います。
私は今のところ耳が聞こえて、ボッジの口から漏れ出るその”声にならない叫び”が聞こえて、彼の必死な表情を目で見て、「こんなに伝えたいのに、相手に伝わらないんだ」という悲しい現実に胸を締め付けられてしまう。
そして耳が聞こえて言語を発音できる自分でさえ、本当は相手に伝わってほしい気持ちや願いがあるのに、うまく伝えられない現実に思い至って、その苦しみをボッジやカゲに重ねて共感の涙を流す。そんな感じでしょうか。
他人が自分の気持ちを真に理解することなんて、ほとんど不可能だって頭ではわかっています。そんなことはもう三十余年の人生で嫌というほど実感しました。
理解できるはずがないってわかっているのに、それでも自分以外の誰かに、願わくば自分が伝えたい相手に、自分の気持ちを知ってほしい、理解してほしい、「わかるよ、辛かったね、頑張ったね」って認めてほしい。
自分を受け入れてほしい、自分の言葉を聞いてほしいという欲求を、人間はどうにも抑えられないんですね。
このアニメを観るたびに、そういった事実に打ちのめされます。
原作も読もっと。おわり。