れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

この人のために:『メイドの岸さん』

どこかの家の住み込みメイドになりたい願望があります。

Amazonの1巻無料セールを久々に覗いたら、面白い漫画にたくさん出会えました。

その中の一つが『メイドの岸さん』。

表紙の岸さんがとても可愛かったので購入したんですが、笑いと萌えが詰まった素敵なラブコメでした。

 

物語のあらすじは以下。

ポンコツご主人がクールなメイドをとにかく喜ばせたいラブコメディ!主人公・早瀬貴一朗は日本有数の名家「早瀬一族」の次期当主で、数々のグループ企業を束ねるエリート中のエリート。そんな彼の唯一の欠点である”ドジ”をいつもクールにカバーするメイドの岸さん。どんな時も表情一つ変えない彼女を、貴一朗はとにかく喜ばせようとするが…?

「クールな君を甘やかしたい」早瀬貴一朗は日本有数の名家「早瀬一族」の次期当主で、数々のグループ企業を束ねるエリート中のエリート。そんな彼の唯一の欠点である“ドジ”をいつもクールにカバーするメイドの岸さん。どんな時も表情一つ変えない彼女を、貴一朗はとにかく喜ばせようとするが……? ポンコツご主人が、塩対応メイドを喜ばせようと四苦八苦!

講談社サイトより)

岸さんの主人である貴一朗がアホでかわいいです。アホだけど優しくて一途に岸さんを想っています。

メイドの岸さんはクールで不器用だけど、岸さんなりに貴一朗を大事に想っていて、相思相愛なのに互いにずれてる面白さが漫画特有のギャグタッチで描かれています。

 

早瀬家のような、大きなお屋敷にハウスメイドが何人もいるお金持ちの家って、全世界に今どれくらい存在してるんですかね。

あくまで漫画やアニメやゲームの世界でしか見たことがないので、現実でどのようにメイドたちが過ごしているのかわからないですが、物語世界しか知らない自分からすると「ハウスメイドになってみたいなぁ」と思うことが結構あります。

 

労働内容としては掃除とか洗濯とか配膳とか、肉体労働が中心でまあまあキツいかもしれませんが、住み込みで衣食住は約束されてるし、メイド仲間とわいわい働けて楽しそうだし、自分が仕えたいと思える主人のためにする家事は、一人暮らしでおこなう家事よりずっとやりがいがありそうだなぁと憧れます。

そう、メイドの仕事の一番の魅力は「特定の誰かのためだけに働ける」ということだと思うのです。

 

資本主義社会で働いてると、市場という不特定多数の人々に向けて商売をするわけで、それが自分にはいつまでたってもしっくりこないのだなと最近気づきました。

インビジブル・ハート』だったと思うんですが(違う本だったらすみません)「パン屋が君を愛していなくてもパン屋は君のために毎朝パンを焼いてくれる」みたいな話を読んで、資本主義の素晴らしさってそういうことか〜と昔感じたんですよね。

確かに自分が誰からも愛されなくても、お金を払って美味しいパンがいつでも食べられる現代社会の仕組みは素晴らしいと思います。

でも自分が働く側になった時、自分にとって特別でもなんでもない赤の他人が、自分の仕事で喜んでいても、あんまりというか全然嬉しさを感じません。

 

もちろん10年弱社会人として働いてきたので、仕事をして誰かに「ありがとう」と礼を言われたことは何度もあります。でも、それで心底嬉しかったことは一度もないです。

だって、私は自分に馴染みのないお客様にも、好きでもない同僚にも、喜んでほしいと思って仕事をしたわけではないのですから。

ただ雇用条件を満たして給料をもらうためにやったこと。私がしてきた仕事はほぼ全てそれだけに尽きます。

 

私が喜んでほしいと思うのは、自分が心から好きな相手だけです。

片想いの相手や尊敬する先輩や仲の良い同僚。自分に近しかったほんのひと握りの人たちだけが喜んでくれたら、それだけで嬉しいです。その他の人にいくら喜ばれても、それは私の幸せにはなり得ません。

 

だからたとえメイドになったとしても、もし自分が好きでもなく尊敬してもいない主人に仕えるメイドだったら、他の労働と変わらないだろうと思います。

でも岸さんたちのように、自分が「好きだな、素敵だな」と思える主人にメイドとして仕えることができたなら、単調な家事でも毎日楽しいだろうなと想像しました。

そしてそう考えた時、専業主婦も同じ感じかなぁと思い至りました。

 

大好きな旦那様や愛する子供たちが家族だったら、怒涛の終わりなき家事でもやっぱり楽しいんじゃないですかね。もちろん向き不向きもあるけど、少なくとも私は元来料理も掃除も洗濯も好きな方なので、今みたいにただただ生きながらえてる自分一人のためにする家事よりは、大好きな人たちのために家事をしたいと思いました。

(問題は大好きな人というのがこの世に一人も存在しないことです。)

 

反対に、家族が存在するけどそれが好きでもない旦那や子供、下手をすると両親なんかだとしたら、それは今やっている会社勤めの労働かそれ以上に苦痛だろうと思います。会社勤めの方がかろうじて給料もらえるからマシかもしれません。

 

「この人のために」、そう思える誰かがいたら素敵ですね。

今回『メイドの岸さん』を読んで改めてそう感じました。

私は、好きでもない自分のために頑張ることはやっぱりできないみたいです。

かといって好きな人もこの世にいません。

誰か、自分が好きな誰かのためだけに生きてみたい。なんの関わりもない、たまたま巡り合わせた”お客様”のために労働するのは、全然楽しくないんですもん。おわり。