れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

集中力と才能:『左ききのエレン』

「明けましておめでとうございます」って年明けていつくらいまで使うんでしょう。

明けましておめでとうございます。

2021年も相変わらず大変な世の中で、ニュースで首都圏の感染者数を耳にするたびに外出するのがますます億劫になります。

 

10代の頃からインドア派だった私はひたすら漫画を読み、アニメを観て、たまに読書もしたり映画を観たりして過ごしていました。

それは30歳になった今でも変わらないのですが、明らかに変化(退化)したことがあります。それは「集中力」です。

少し難しいストーリーだったり、セリフや独白が長い漫画を読むのが昔に比べて辛くなっています。

だんだん面白くなっていくのかもしれなくても、最初の数秒〜数分で心掴まれないアニメは、1話を観終わる前に離脱してしまいます(大人気『鬼滅の刃』でさえ、一度それで離脱しています。再チャレンジして無事26話観終えましたが)。

 

「加齢により集中力が弱くなっている!」と最初は考えていました。

しかしよくよく思い返すと、私はそもそも生まれつきあまり集中力が高くないのかもしれないと気づきました。

大学受験の時、クラスメイトたちが1日7時間とか10時間とか勉強したという話を聞くたびに、どうやったらそんなに長時間勉強できるのか全く見当つきませんでした。

私は得意だった数学でもせいぜい試験時間の2、3時間が限界だったと思います。

 

しかし集中力というのは何も時間だけではないんですね。

2時間しか問題を解けないけど正解率100%の人と、7時間考え続けることができるけど30%しか正解できない人がいたら、私は前者の方が才能がある気がします。

そういった、集中力と才能について非常にわかりやすく解説されている漫画が『左ききのエレン』でした。

昨年末にKindle無料本になっていて、読んでみたらすごく面白かったです。

ジャンプコミックスになっているもう少し絵がきれいなバージョンもあるんですが、私はそちらがどうしても合わず読めませんでした。

上記に添付した原作版は、最初の数巻は絵がお世辞にも綺麗とは言えません。しかし、感情の生っぽさ、キャラクターの生き生きした感じが圧倒的で、ストーリーに引き込まれるのはこの原作版でした(巻数が進む中で絵もだんだん上手くなってます)。

映像化もされてるみたいですがそれも観てません。

 

この漫画は、大手広告代理店で若きデザイナーとして働く朝倉光一と、彼の高校の同級生で絵画の天才・山岸エレンの物語を軸とした、彼らを取り巻く魅力的なキャラクターたちの群像劇です。

 

光一の働く環境はまさに理不尽と葛藤が渦巻くサラリーマン世界そのもので、作品全体を通して格言や名言が散りばめられています。

その中でも最初に感心したのが、3巻で光一の元チームメイトでコピーライターのみっちゃんと、その上司・寺田さんが才能の正体について会話している場面です。

「オレが思うには

才能とは集中力の質だと思うーーー

(中略)

集中力は・・・

「深さ」「長さ」「早さ」 この3つの要素のかけ算だと思う

 

「深さ」は集中力の強度だな

「長さ」は集中力の継続時間・・・

「早さ」は集中に入るまでの瞬発力」

 

(かっぴー『左ききのエレン③』ピースオブケイク 2016.11.3)

「本の受け売りだけど」と寺田さんは言ってましたが、これって実在する誰かの理論なんでしょうかね。なるほど〜と思いました。

 

確かに何かの天才といわれる、いわゆる”プロ”の人たちは、対象に対してこれらの要素が非常に高いレベルで保たれていて、それゆえに集中力が高い。

自分がこれまでまあまあ集中力保てていたなと思う事柄(中高時代の数学、部活動の合唱や吹奏楽、習い事の茶道など)について3つの要素を考えてみると

  • 「深さ」・・・まあまあ深かった(古典とか他のことに比べると)
  • 「長さ」・・・どれも2、3時間が限界
  • 「早さ」・・・これは早かった。すぐに取り組める

という感じでした。

ちなみに今の仕事に関しては

  • 「深さ」・・・基本的に浅い。紐解いたり掘り起こしたりできない。表層だけ
  • 「長さ」・・・2時間もたない。1時間でも厳しいかも
  • 「早さ」・・・遅い。取り組むまでにものすごく自分を甘やかしてご褒美あげないと取り組めない

というわけで、今の仕事に対しての才能は多分あまりないと思われます。

 

勉強や仕事とはかけ離れた部分で、私が一番集中できるのはやはり物語に触れている時だと思いました。漫画でもアニメでもゲームでも、ストーリーに没頭すると上記の3つがグンと上がります。

よく覚えているのは高校生の時に読んだ『DEATH NOTE』、大学時代に観た『デュラララ!!』『コードギアス 反逆のルルーシュ』『HELLSING OVA』、フリーター時代に初めてプレイした乙女ゲーム『華アワセ 蛟編』などです。

  • 「深さ」・・・ご飯食べるのも忘れるレベル。眠らずにぶっ通しでストーリーを追ってしまう。目移りできない
  • 「長さ」・・・ストーリーが完結するまで続く。24時間を超えることも
  • 「早さ」・・・何の助走もいらない。一瞬

まあ物語に没入するのは受け身の動作が多く、基本的には観ているだけなので、そりゃあハードル低いですよね。別に才能とかいらないことなのかもしれません。

 

よく「夢中になれるもの・ことがほしい!」とか、「何かに一所懸命になりたい!」とか昔は考えていましたが、それは言い換えると「高い集中力を発揮できる対象を見つけたい!」ということなのでした。

 

結果的に強く集中できるものにはいまだに出逢えておらず、相変わらず無気力で退屈な人生を送っています。

しかし集中できないなりに、一体「深さ」「長さ」「早さ」のどれがボトルネックなのかということを考えるようになりました。

例えば今の仕事で一番集中力の足を引っ張っているのは「早さ」です。取り組むまでうだうだしていることが多い。夏休みの宿題になかなか手をつけない心情に近いです。

別に改善しなくても、お給料変わらないのでどうでもいいと思っていますが。

”才能”とか”売上”とか”魅力”とか、よく使うけど構成要素が多い事象を因数分解するのって、面白いし役に立つなぁと思いました。おわり。