れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

冴えた子守唄:WONK「Blue Moon」

一昨年くらいからかなり好きな日本のバンドの一つが”WONK”です。

ライヴも行ったことがあって、生で観ても圧倒的な演奏力と音の良さがやみつきになるのですが、最近出た新しいアルバム『Moon Dance』の1曲めが好きで好きで夜寝る時や夕方の酔っ払った気だるい時などに好んで聴きます。

Moon Dance

Moon Dance

 

 

ラジオではよく2曲めの「Orange Mug」という曲がかかっていて、こちらもとても好きで、むしろOrange Mugにつられてアルバムを購入したのですが、頭の中に絶えず流れるのはやはり「Blue Moon」なのです。 


WONK - Blue Moon (Official Audio)

 

Blue Moon

Blue Moon

  • WONK
  • R&B/ソウル
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

自分が赤ん坊の頃の記憶なんて全くなく、もし記憶があったとしてもベッドメリー(赤ちゃんの枕元でくるくる回るメリーゴーラウンドみたいなオルゴールのやつ)なんてうちには絶対なかったと思うのですが、「Blue Moon」のイントロを聴くとベッドメリーが頭に浮かび、不思議な懐かしい気持ちになります。

それでいてその後セクシーな歌声と重厚感のある低音が入ってきて、深みのあるサウンドになっていきます。この構成が非常に美しいです。

 

聴けば聴くほど”黎明”とか”静寂”とかそういう言葉がしっくりくる、ピリッと冷たくて冴えた冬の早朝みたいな感触がするし、一方で星の綺麗な夜空が見えたり広大な宇宙が見えたり(そんな感じのアルバムジャケットなのもありますが)、しかし夜の丸の内みたいなうっとりするような都会の夜の景色も見える。とても心地が良くて、でもどこかヒリヒリする張り詰めたものも感じる、奥行きのある曲です。

 

古川日出男『アビシニアン』『沈黙』とか、金子千佳『遅刻者』とか、文学ではそういう感触を持つ作品がいくつかありますが、音楽は・・・近いところではRADIOHEADのアルバム『Kid A』ですかね。でも『Kid A』にはない安らぎがこの「Blue Moon」にはあります。

こういった言語化しにくい感覚を呼び起こす作品に巡りあうと、忘れかけていた大切なものを思い出せたような気持ちと喪失感でごちゃ混ぜになり、切なくなります。

 

WONKは多分1番有名だった代表曲「savior」があまりにも素晴らしくて、この曲を超えるのは大変だろうなと思ってましたが、全然そんなことなかったです。底知れないですね。もっともっと聴きたくなるバンドです。

savior

savior

  • WONK
  • R&B/ソウル
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

秋の夜長にぴったりな名曲にあえて、お酒も読書もすすみます。おわり。