れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

『サトコとナダ』

私は来月28歳になる、かなりいい年こいた成人女性なのですが

生まれてこのかた日本国の外に出たことがありません。

ここ数年で飛行機嫌いを克服し、北海道や沖縄や奄美大島などには出かけたのですが

所詮は同じ国、大きなカルチャーショックは経験したことがありません。

そんな引きこもりの私に世界の広さを面白おかしく教えてくれる4コマ漫画がありました。 

サトコとナダ(1) (星海社コミックス)

サトコとナダ(1) (星海社コミックス)

 

日本人留学生のサトコと、サウジアラビア人留学生のナダが、アメリカでルームシェアしながら仲良く暮らす模様を描いた4コマ漫画です。

WEBで読むこともできます。

 

イスラム教徒について、日本にいるとついつい過激派のイメージばかり先行してしまうことがありますが

イスラム教がどういう宗教で、イスラム教徒の女性がどういう気持ちで生活しているのかを漫画を通して少しだけ垣間見ることができました。

 

イスラム教徒の女性のイメージといえば、ニカブ・ヒジャブ・チャドル・ブルカと言ったかぶりもので顔や目元以外ほとんどわからない印象ですが、

そもそもこうして肌を見せない根幹には「肌を見せなきゃ男に狙われることなく安心」など、女性保護の意識があるんですね。他にも、映画館のような狭い部屋の中で女性と男性が一緒に過ごすのは良くないとされるというのも似たような原理だそう。

逆に、サトコとナダが暮らす家の中は女性しかいないので、女子の友達も呼んで女子会をするときは皆かぶりものを脱いで思い思いのオシャレをして過ごしており、最初はびっくりしました。

サトコとナダがショッピングする場面で、印象的だったシーンが下記。

「あら かわいいじゃない

セールだし買っちゃいなさいよ」

「かわいすぎて私が着ちゃいけないような気がして」

「ふ〜ん・・・

私は私のために服を買うけどね どうせ知り合いしか見ないから 大好きな服を着るわよ 

サトコって服装自由なのに

私よりよっぽど不自由ね」

サトコみたいにかわいい服に萎縮してしまう日本女性って結構たくさんいるのではないでしょうか。かくいう私もそういう気持ちわかるなーと思っていたので、ナダの慧眼に驚きました。

 

他にも、サトコがナダたちのお祈りの様子を見学していた際、ヒジャブ等をかぶっていないムスリマの人がいることに驚いているシーンも勉強になりました。

ヒジャブをかぶっていないムスリマの人もいるんだね」

「そうね

みんな世界中から来てるものイスラム教徒は世界中にいるしね(中略)

自分と違う格好や暮らし方をしてる人を 蔑視したり仲間はずれにしては いけないのよ 強制もしてはだめ」 

そうなんだ〜って感心してしまいました。視野が世界中に向いていれば、自分と違う格好や暮らし方をしている人ばかりなのが当たり前だから差別意識が生まれにくいのかもしれません。

今でこそ日本にもたくさんの人種・宗教の方が暮らしていますが、それでも職場によってはまだまだ純日本人の似たような階層の人で固まっているので、ちょっと異端なことをするとたちまち悪目立ちして孤立したりしますよね。

 

一番感動したのは1巻の巻末に描かれている、ナダがサトコと出会う前のシーンです。

サウジアラビアから単身アメリカへ留学してきたナダは、ホームシックを紛らわせるためにハディースイスラム教の預言者ムハンマドの言行録)を読み返し、

「豊かさとは富の多さではない。豊かさとは心の満足(知足)によるものである。」という一文に感銘を受けました。

それからナダは一念発起してルームメイトを探し始めます。

「なあにナダ あなた ルームメイトを探してるの?」

「そうよ」

ムスリマコミュで聞けば すぐ見つかるわよ」

「それじゃダメなの!

・・・新しいことに挑戦したいと思ったの

せっかくアメリカに来たんだもの

アラビア語で話すのもほどほどにして

新しい扉を開けなくちゃ・・・」 

それでもなかなかルームメイトは見つからず、諦めかけていたところにサトコから連絡が来て、2人は出会ったのでした。

 

英会話スクールの体験講座でフィリピンの女の子とちょっと話したことがあるのですが、ほんの数時間話しただけでもいろんな驚きや発見があったのを思い出しました。

異国で、自分と違う文化を持つ人と同じ部屋で暮らすなんてことがあれば、それとは比べ物にならないくらいのカルチャーショックがあるのでしょう。

外国に行ってみたくなる作品でした。おすすめです。おわり。