れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

飢えるほどの愛と後輩君が可愛くてたまらない『インヘルノ』

昨日コミックコーナーでなんとなく目を惹かれた作品が、マツモトトモ『インヘルノ』。

インヘルノ 1 (花とゆめコミックス)

インヘルノ 1 (花とゆめコミックス)

 

正直読み応えとしてはそこまで深い作品でもないのですが、とにかく主人公の生徒会での後輩・古庄君が可愛すぎて可愛すぎて・・・この気持ちを書き留めておこうと思いまして。

 

高校2年生の主人公・家入更(さら)と一つ年下の家入轟(ごう)は実の姉と弟で、

4年前両親が離婚し離れ離れになった2人でしたが、その両親が再婚することになり、再びともに暮らすようになるところから物語は始まります。

更は眉目秀麗・才色兼備の超人みたいな人ですが、情緒に少し欠陥があるというか、他人への興味が人一倍薄い人間です。

そんなアイスドールな更が唯一心から求めてやまない人間が弟の轟。小さい頃から大好きな弟ではあったものの、今では弟ではなく一人の男性として轟を手に入れたい気持ちがあります。

一方の轟も、物心ついた頃から更に特別な感情を抱いていました。大人になるにつれて自分の気持ちが社会的にも倫理的にも許されないものだと何度も思い知るのですが、それでも更を想う気持ちをどうしようもできない苦しみを味わい続けます。

4年ぶりの再会ではピリピリしていた轟ですが、本能に抗えるわけもなく、2人は互いに求め合うようになります。

と言ってもまだある程度プラトニックではあるみたいですが。

家に2人きりだと結構チュッチュチュッチュしてて「この姉弟すごいなー」って感じです。

 

花とゆめコミックスを久しぶりに読んだのですが、花ゆめってページの脇に作者のコメントとか解説が入っているんですよね。

2巻の最初のコメントに書いてあるのですが、この作品の素材として近親愛を選んだのは”激しい恋を描く手段”としてであり、それ自体を目的としているのではないということでした。なるほど。

確かに、轟の激しい感情なんかは近親愛だからこそあそこまで熱く描きあらわせるのかもしれません。

1巻の最後の部分の表現が非常にいいなと思いました。

これは   地獄

 

楽しくなんかない

優しくもなれない

火を飲んだみたいに

胸を焦がし

出口は ない

永遠に

 

だけど

 

それでも いい

それでも いい

それでも いい

 

と 

”火を飲んだみたいに”って、素敵な表現だなぁと感心しました。

それくらい激しい気持ちで人を好きになれるのって、やっぱり素晴らしいですね。羨ましいです。

ちなみに「インヘルノ」とはポルトガル語で「地獄」という意味なのだそう。

 

しかし、この作品には轟とはまた違った雰囲気の、更に静かに燃える恋心を抱く少年がいるのですよ・・・

それが、更の後輩の古庄君です!!

更は生徒会長なんですけど、古庄君は更の側近のような立ち位置の男の子で、年は高1で轟と同じです。

古庄君は更ほどではないにしても秀才で賢い子なので、更たちの立ち居振る舞いから家入姉弟のただならぬ関係に気づいています。

そしてその上で更に恋しているのです。

「返事はいいです」と予防線を張りながら更に想いを打ち明けるのですが、更は自分と轟のために古庄君を利用します。更は古庄君と付き合うことにするのです。

古庄君も更の気持ちが自分の方を向いていないことはわかっています。それでも「どうしたら轟から奪い取れるか」日々思考を重ねます。

・・・匂いませんか、彼からそこはかとなく”不憫”の香りが・・・!!

以前も書いたかどうかわかりませんが、私は大の不憫萌えであります。

アルドノア・ゼロのスレイン、涼宮ハルヒの憂鬱の古泉くんなど、報われない想いを静かに抱き続ける少年が大好物なんです。悪趣味ですみません。

もう、とにかく古庄君が可愛すぎます。特に、更と初めてのデートで築地に行った時の可愛さといったら・・・下調べしたことが更にバレて顔真っ赤にしてる古庄君最高すぎて悶えました・・・可愛すぎかよ・・・

そして余裕がなくなると大阪弁が出るところも最高に可愛いです。狙ったような萌えキャラです。古庄君、恐ろしい子

しかしそんな楽しかったデートの翌週、古庄君は生徒会室の机の上に投げ出されていた更の手帳の中をうっかり見てしまいます(わざとじゃないです。風にはためいてたまたま見えたのです。目は凝らしましたけど)。

更の手帳の、楽しかったデートの土曜日に書いてあった文字は「轟 体育祭」。

更の心が全く手に入らないことを再認識しつつ、それでも轟から更を奪いたいと再び闘志に燃える古庄君なのでした・・・。

 

ああ、誰かをこんなに好きになって、求めて、苦しんで・・・

当人は絶対に辛いんですけど、やっぱり憧れます。人をそんなに好きになれるということに。

私も今まで付き合った人とか、片想いした人とか、いるにはいるんですけど、

最近「本当にあの人のこと好きだったのかな?」と疑問を抱く時があります。

なんとなく好きだと思っていたとか、ただ好きと言われたから一緒にいたとか、

そういうぼんやりした気持ちではなかったか?と顧たりすることが、最近多々あるんです。

・・・ここ1年くらい誰も好きになってないからかもしれません。

恋愛から遠ざかっているうちに、過去の恋愛まで不審に思ってしまうなんて、なんだか薄情で嫌だなぁ。

轟や古庄君みたいに、誰かを強い気持ちで想うことが、果たしてあるのか。

なんだかしみじみ考えてしまいました。おわり。