れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

『フリーエージェント社会の到来』

フリーランスやら、ブログ執筆やアプリ開発で個人で食べていくやら、ここ数年でそういう話をよく聞くようになりましたよね。

2014年現在、そういったような個人で稼ぐ方法というのは、確かにとてもハードルが低くなったと思います。それでもまだまだ自分の身の周りでは見かけないですけど。

20世紀末から急速なスピードで世界のあり方が変わってきて、産業革命以来の大変化が訪れていると言われる昨今、きっとこれからさらにフリーで働く人、すなわちフリーエージェントが増えて、いつしかフリーエージェントが労働形態のスタンダードとなる日がやってくる、と主張している本がこちらです。

書いていあることは、今となってはそんなに目新しい事ではないんです。

インターネットでどこでも仕事ができる時代が訪れれば、人は長時間かけて通勤したりしないし、頑張ってオンとオフを切り分けることもしないし、自宅で家族と共に生活しながら仕事するようになりますよね、という話。

そして大企業はどんど巨大化して国家に匹敵する規模になる一方で、ミニ企業家やフリーランスなど、個人単位の働き手が流動的に仕事するようになり、サイズ的にその間である中小企業は影が薄くなるか消えてなくなるかして、労働市場は2極化すると予言しています。

 

この本の原著が書かれたのは2001年、21世紀が始まったばかりのころです。

2001年、私はまだ小学生で、音楽と図画工作だけが好成績の子供でした。

漫画は大好きでたくさん読んでましたが、本は小説を数えるほどしか読んでなくて、ビジネス書なんてジャンルすら目に入ってきませんでした。

そして2001年といえばアメリカの同時多発テロがありましたが、私は当時家のリビングのテレビの前に布団を敷いて寝ていて、夜のテレビでそのショッキングな映像を布団にくるまりながら眺めていました。何か凄く大変なことが起きているとは思いましたが、それがどうして起きたのか、どんな歴史的・政治的背景があるのか、そのあとビンラディンが云々騒がれているけど一体どういうつながりなのか、詳しい事はまったく分からなかったし、とりたてて調べることもありませんでした。

当時の私は、クラスの女の子たちとどううまくやり過ごすか、好きな男の子にどうやって振り向いてもらうか、面倒くさい部活動をいかにしてサボるかばかり考えているような子供でした。

そんな子供が13年の時を経て24歳の大人になり、社会の荒波に揉まれてああでもないこうでもないと考えながら図書館や書店でいろんな本を手に取るようになって、この『フリーエージェント社会の到来』に出会ったわけです。

この本の副題には”「雇われない生き方」は何を変えるか”とあって、この「雇われない生き方」というのがまさに今の時代にフィットする言葉だと思うんです。

ところが書かれたのが13年も前だと知って、私は著者のダニエル・ピンク氏の慧眼に畏怖の念を抱かざるをえませんでした。時代というのは、読める人にはすらすら読めてしまうものなのですね。

しかも、2014年の今読んでみても、まだ未来のことが書いてあるのです。現実は、この本に書かれていることのまだ6~7割くらいしか実現できていません。これからもっともっと、この本に描かれているような未来に近づいていくのだと思います。

 

私は現在、フリーエージェントではありません。

企業に雇ってもらっている身で、正直個人でビジネスできる自身はまだありません。

けれど、そう遠くない将来、フリーエージェントにならなければいけないな、と思いながら日々を生きています。

2001年にダニエル・ピンク氏が『フリーエージェント社会の到来』と言って、それからも今日に至るまでたくさんの識者が同じようなことを主張しています。

これだけ予言されているのだから、きっとそういう社会になるんだろうと素直に考えています。

また、社会に出て働いてみて、組織に雇われて働くことのデメリットが身にしみてわかったので、そこから解放されたいという思いもあります。

 

もうひとつ、世の中がよりよいフリーエージェント社会になるように、私にできることは何だろうとも考えています。

とくに本書で”テンプ・スレーブ”とか言われているような、処遇の悪いフリーエージェント(望まざるフリーエージェント)を無くすために何ができるだろうと思案しています。

組織に雇われて、時間をかけて通勤したり、やりたくもない単純作業に追われたり、稚拙な派閥争いに巻き込まれたりする社会は、誰にとっても嫌な社会だと思います。そういう意味で、フリーエージェント社会の到来は望ましいと思うし、資源の有効活用や、仕事の効率化の面からみても、メリットが大きいと思います。

でも、放っておいたらそのメリットを受けられない人も結構な数出現してしまうだろうとも思います。

どうすれば、より多くの人にとって望ましいフリーエージェント社会を作ることができるのか、それが今後の自分の問題意識というか、重要課題になると思いました。おわり。

 

新装版が出ています。デザインが可愛いですね。

フリーエージェント社会の到来 新装版---組織に雇われない新しい働き方