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れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

『リップヴァンウィンクルの花嫁』

ひさびさに邦画を観まして、面白い作品にであえました。

主人公の皆川七海がネットで知り合った男性と結婚するにあたり、式の参列者不足のため、これまたネットで知り合った怪しい男性・安室に参列者の代理出席サービスを依頼するところから、物語はおかしな方向へ転がって行きます。

別れさせ屋にはめられ離婚した七海はまたも安室に助けを依頼し、月給100万円のこれまた怪しいメイドの仕事を請け負います。
大きな屋敷に先輩メイド・里中真白(ましろ)と2人で暮らすうち、自由奔放な真白に惹かれ、どんどん仲良くなっていたある日、真白が高熱を出してしまいます。
そこにかけつけた真白のマネージャーの女性から、真白が実はAV女優であること、屋敷のオーナーも真白であることを知らされた七海。
七海は真白のことを心から想い、メイドの仕事を辞めて、2人でつつましく暮らす提案をします。
新居探しの途中でウエディングドレス屋さんに入った2人は、ドレスを着てフォトウエディングをあげ、ドレスのまま屋敷で食事をし、そしてベッドで仲良く眠ります。
 
この、七海と真白の2人のフォトウェディングが、とても素敵でした。
物語序盤の七海が参列者代行サービスを頼んだ時の結婚披露宴は、失笑ものの薄ら寒い式でしたが
七海と真白の結婚式は、指輪すらごっこだったのに、とても神秘的で感動的でした。
お金と見栄にまみれた結婚式は、美しくないですね。この映画を観てよくわかりました。
 
ドレスのままベッドの上でじゃれあう七海と真白。
そんななか、真白が自分の考える”しあわせ”についてぽつりぽつりと話しはじめます。
世の中は優しさや幸せで溢れており、その幸せがいっぱいになると、胸が苦しくて耐えられなくなってしまうと。
だから真白はそういうものにお金を払わずにはいられないと。
 
この真白の理論、少しわかるなぁと思いながら聞いてしまいました。私はいちいち払えるほどお金ないですけど。
 
真白の言葉を静かに聞いていた七海が何か言いたげな顔をしていると
真白が「自分が一緒に死んでくれと言ったら死んでくれるか」と問いかけます。
七海はびっくりしつつも、真白を心から愛していたので、それを承諾します。
そして次の日の朝、真白だけが死んでいました。服毒自殺でした。
真白が事前に呼んでいた葬儀屋と安室が部屋に入った時、七海もまだ寝ていたので、七海は全容を知らないかもしれませんが
真白は安室に「自分と一緒に死んでくれる人間を紹介する」という依頼を1000万円で受けていたのでした。
結局その人間はみつかったけれど、一緒には死ななかった。真白は満足したのでしょう。
 
このお金の遣い方、なかなかすごいですよね。
万が一見つからなかったら、どうなっていたのでしょう。
真白は、末期ガンだったのでした。
 
遣いきれないお金があって、余命がわずかだったら、私は何にお金を遣うか、ちょっと思いをめぐらせてみましたが
乙女ゲーを買い込んでプレイするくらいしか思い浮かびませんでした。笑。しょーもなくてすみません。
 
七海は真白を失った悲しみからなんとか立ち直り、ようやく新しい一歩を踏み出すところで物語は終わります。
観終わった後、なんだかすっきりと心が軽くなるお話でした。
 
悲しくも美しく、切ないけれど軽快。素晴らしい映画でした。おわり。