読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

れっつ hang out

ひまをつぶしましょう

アニメ史に残る名場面:『亜人ちゃんは語りたい』

アニメ 漫画

日本に生まれて本当に良かったと思う瞬間、それは素晴らしいアニメ作品を母国語で認識できる時です。

現代日本は素晴らしいアニメ作品、漫画、ライトノベルその他で溢れているとしみじみ感じます。

それらが翻訳を介さずにシームレスに認識できること、この幸運を享受できて本当に嬉しいです。

さて、そんな現代日本において、アニメ史に残る名場面というものがあります。

私がパッと思いつく名場面は『涼宮ハルヒの消失』のラストの雪が降る病院の屋上のシーン、『氷菓』の最終回の桜吹雪の中でのシーン、『恋物語』終盤での貝木が撫子に必死に諭すシーン、『HELLSING OVA』での少佐の大演説などなど、今でも思い出すだけで胸が熱くなるものばかりですが、

そんな名場面に新たに加えられたのが、現在放送中の『亜人ちゃんは語りたい』11話の終盤の海辺のシーンです。

原作漫画では4巻の最後の部分にあたりますが、情景が少しアニメとは異なっています。

亜人ちゃん”は”デミちゃん”と読みます。

物語の舞台は現代日本ですが、「バンパイア」「デュラハン」「雪女」「サキュバス」といった”亜人”と呼ばれる特別な性質を持つ人間がいる社会です。

日常生活に不利な点を持つ亜人に対しての生活保障制度が充実しているなど、ある程度環境の整備された世界ですが、そうは言ってもまだまだ課題の残る世の中。

柴崎高校の生物教師・高橋鉄男は、学生時代から亜人に興味を持っていたものの、今まで亜人に会ったことはなかったのですが、ある新学期、新入生3人・新人教師1名の様々な亜人に出会い、彼女たちと交流しながら亜人についての理解を深め、また彼女たちの生活も変化していく・・・というのが大まかなストーリーです。

この主人公の高橋先生が、いい男なんですよね〜。以前仕事でサブカル系の婚活イベントを開催した時、参加者の女性の方が好きな異性のタイプに「高橋先生」と書いていらして、大変共感したものです。ハグされたいですよね、わかります。

@@@

高橋先生以外の主な登場人物は、1年生のバンパイア・小鳥遊ひかり、デュラハン・町京子、雪女・日下部雪、サキュバスで数学教師の佐藤早紀絵の亜人たち。

彼女たちはそれぞれに問題や悩みを抱えつつも、それらを高橋先生を中心とした仲間たちと語り合いながら一つずつ乗り越えていきます。

特に、亜人ちゃんたちの中でもムードメーカー的存在のひかり。この子が本当にいい子なんですよね。学校の成績は芳しくなくいつもネタにされていますが、実はこの子が一番頭がいいのではないかといつも思います。

ひかりのファインプレーシーンその1は、雪がクラスメイトに悪口を言われて悩んでいる時に、そのクラスメイトにひかりがくってかかるシーン。

「アンタたち 他人の悪口ばっかり言ってるんでしょ!

やめなよ!そういうの!」

(中略)

「確かにユッキーは亜人だけど!関係ない!

アンタたちに文句を言うのはアンタたちに文句を言いたいからよ!

相手を煽って はぐらかそうとするな!!」(中略)

「別に陰口を言うのをやめたくなかったら それでもいい

でもアンタたちが言ってるのを見たり聞いたりしたら

その度に文句を言いに行くから

のんびり他人の悪口を言いたいなら 私の目や耳に入らないところでやって」

「・・・・・・別に 陰口言ってるのってアタシたちだけじゃねーじゃん

なんでアタシたちにだけ文句を・・・」

「アンタたちだけじゃない

陰口を言っている人を見聞きしたら誰にだって私は文句を言う」

「何でそんなにやっきになるんだよ!

陰口言うなんて誰でもやってるだろ!!」

「『みんながやってるから』なんて理屈・・・ 私は嫌い!!

『みんな傷つけあってるから私も傷つけていい』なんて・・・

口にして恥ずかしくないの!?

陰口を言われてうれしい人なんているわけないのに・・・ッ」

「・・・・・・じゃあ何?アンタは他人の陰口を言わないの?」

「言わない

言いたいことがあれば全部直接言う 言えなえれば言わない」

「そうすれば 自分は陰口をたたかれないとでも?」

「・・・・・・・・・それはない

だって私がここを去ったあと 二人は私の陰口を言うでしょ?」

(中略)

「でも決めたんだ・・・ただの自己満足だけど・・・

私は・・・人から嫌われても うしろめたさが残ることはしないって・・・」 

ひかりはこんな風に啖呵を切っても、言いすぎた時は素直にすぐ謝る謙虚さも持っていて、そこもすごいと思いました。

ひかりがこんなに固く心に誓っているのは、双子の妹・ひまりと約束したからなんだそうです。ひかり、かっこいいなぁ〜。

@@@

さて、冒頭でもご紹介した名場面についてです。

アニメも11話までやってきて、亜人ちゃん達もかなり打ち解け、高橋先生も迫り来る夏に向けてさらに亜人研究を進めようとしていた時(バンパイアひかりと雪女・雪は暑さに弱い)、彼は教頭先生に亜人に構いすぎていると指摘され立ち止まってしまいます。

高橋先生のおかげで亜人ちゃんたちは確実により良い方へ変わっていっているのですが、自分が介入せずとも彼女たちが自分たちの力と周りの様々な人間関係の中で得られるはずのものだったのではないかと、教頭の言葉を真に受けた高橋先生は塞ぎ込み、放課後海辺で途方に暮れてしまいました。

高橋先生の異変に気付いたひかりたちは、先生のためにビデオレターを作り、自分たちが高橋先生のおかげでどれだけ助かったか、生活がより良いものになったか、高橋先生をいかに信頼しているかを伝えます。

そのビデオレターをスマホで見て泣いていた高橋先生の元に、ひかりがやってきます。

ひかりだけはカメラを回していてビデオレターにほとんど映っていなかったのです。

「みんなの動画・・・すごくうれしかったよ

元気出た・・・ ・・・でも

やっぱり出すぎたことをしていたんだろうなーって・・・

周りと足並み揃えなきゃって・・・」

「そんなことは ないよ・・・

”頑張る”に”やりすぎ”なんてないよ!

頑張って前に出てる人に『出すぎだ』なんて文句言うのはおかしい

頑張ってる人に対して周りができることは

頑張りが報われるよう支えたり 感謝を伝えたり・・・

もしもその人と足並みを揃えたいなら

自分も同じくらい頑張ることじゃないかな・・・

(ひかりが突如立ち上がり、夕陽に向かって叫びます) 

センセーー!!いつも頑張ってくれて ホントーにありがとう!

センセーがくれる頑張りに負けないくらい!私も頑張って!

センセーやいろんな人に返していきたいと思います!!

(高橋先生の方に向き直って)

じゃじゃ〜〜ん!!ドッキリシークレットビデオレターでした〜〜〜!!」

この後ひかりに頭を撫でられ、高橋先生は俯いてさらに泣くのでした。

このシーンはアニメで観ても漫画で読んでも泣けます。ひかり、本当にいい子だなぁ〜とジンときます。「頑張って前に出てる人に『出すぎだ』なんて文句言うのはおかしい」ときっぱり言い切るひかりの慧眼に強く胸を打たれました。

正論ばっかり振りかざすポジティブモンスターは鬱陶しいですが、ひかりは自分の意見にきちんと裏付けや論拠をもっていて、自身の経験から考えを構築しているので、言葉の一つ一つがすっと腑に落ちます。

私も、頑張ってる人につまらない言いがかりはしたくないし、頑張りをもらったら相手や周囲の人に返していきたいと思いました。おわり。