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ひまをつぶしましょう

読むと意識が高くなりそう・・・『採用基準』

某有名αブロガーのおばさまが、別名でも本を書いていると聞いて、手に取ったのがこちらの本です。

採用基準

採用基準

  • 作者:伊賀 泰代
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

この本の内容をひとことで言うと・・・

「みんな、リーダーシップ取れよッッッ!!!」

という感じですかね。

本のサブタイトルに「地頭より論理的思考力より大切なもの」とありますが、それがすなわちリーダーシップをとる力なのだと筆者は色々な例を挙げながら説明しています。 

 

筆者の言うリーダーとは、達成目標をもつ組織において、以下の4つのタスクをなす人のことです。

  1. 目標を掲げる
  2. 先頭を走る
  3. 決める
  4. 伝える

目標のない組織にリーダーは要りません。そもそも導く(リードする)先がないなら確かに要りませんね。

先頭を走るというのは、部下になんでもやらせて自分は後ろで見守っているなんていうのはリーダーじゃありませんよという話でした。自らが動き皆の道しるべになるような振る舞いをしろってことです。一番最初に手を挙げる人、先の流れをつくる人ですね。

 

読みながら「フムフム、そうね、なるほどね」と感心しながらもたいして気に留めないで読み進めてしまう私ですが、3番目の”決める”のフェーズに突入すると「そうそう!!ほんと、そうなのよ!!!!!」と凄く同調してしまったというか、よくぞここまで言い表してくれたという気持ちが湧きました。

というのも、私が最近まで勤めていた職場が、なーんも決められないオジサン上司たちの集まりで、心底嫌気がさしたという経験があるのです。

部長の決定が毎日コロコロ変わる、設備が壊れたり資材が間に合わなかったりして予定が狂うのが目に見えているのにギリギリまで指示を出さない・・・当然現場は滅茶苦茶になり、人件費もロスが増えるという、本当に呆れる会社でした。

私も新入社員ながら、出せる範囲で周りに指示を出すし、上司にも物申しました(私はどうも相手を選ばず言いたいことを言うタイプの人間のようです)。けれども、どうしても限界がありました。

さらに、ああそういえばそうだなあと思った記述がこちら。

 当然ですが、情報が完全に揃っていない段階で決断をすることは、リスクが伴います。このリスクをとるのがリーダーの役目なのですが、日本では時に、「リスクを、人ではなく場所に負わせる」というびっくりするような手法が使われます。

 たとえば、「それはどこで決まったのか」という問いと、「○○会議で決まった」という回答があり得ることは、日本における「決める」という行為の特殊性をよく表しています。

 決めたのは場所ではなく、人のはずです。誰かがその会議において決めたはずです。しかし私たちは決めた人をあえて曖昧にするために、「会議で決まった」という言い方をするのです。

よく言いませんか?「会議で決まった」とか。こういう言い方がさらに混乱を招くということに、はじめて思い至りました。

決めた人は責任を負いますから、そりゃあ大変です。どれだけ待っても情報が揃わないのは当たり前ですから、必要なタイミングで決断を下すと当然それが間違いである可能性はあります。でも、とにかく決めないと、物事って本当に先に進まないんですよね。

・・・ほんと、皆責任を怖がるんです。40代や50代のオジサンオバサンが、互いに熾烈な責任押しつけ合戦を繰り広げるのを、間近で何度も見てきました。しかも、ただのジジババじゃないんです。彼・彼女たちは”課長”とかなんですよ。管理職の、役職手当貰ってる人たちが、責任逃れのためにたくさん言い訳する姿は、もう地獄絵図っていうかなんていうか・・・びっくり&ウンザリって感じでした。

責任の所在をはっきりさせておくのって、とても大事ですよね。3.11のとき、日本中の人々がそう感じたはずです。

本書で引用されている「A bad decision is better than no decision」というどこかのアメリカ企業経営者の発言はまさに格言だと思います。前の職場の事務所に貼っておいてあればよかったのにと思いました。

世の中には経営者が何も決断できないままに、ずるずると消耗戦を続けている企業がたくさんあります。経営者もサボっているわけではありません。「十分な情報が得られるまで、真摯に検討を続けているだけ」です。誠実で善良な人なのかもしれませんが、こんな(リーダーシップの欠如した)人に率いられる組織は、本当に災難です。

ほんっとーに、災難でした。

 

さらに筆者は、リーダーシップは役職につく人だけが取るべきものでなく、全員が取ろうとしないと組織は効率的に動かないことにも言及しています。

全員がリーダーシップをもっているチームでは、最終的な判断を下すのはオフィシャルなリーダーであったとしても、議論の段階では全メンバーが「自分がその立場であったら」という前提で議論をします。このため各メンバーはリーダーに対して、「ここがおかしい」とか「ここを変えてください」と言った、意思決定者への陳情(要請)のような意見の述べ方ではなく、「私がもしリーダーであれば、こういう決断をする」というスタンスで意見を述べます。

これも、確かに~って納得しました。好き勝手言うだけ言って混乱させるだけの人っていますよね。社内旅行で「ここ行きたいー」とか言うだけ言ってそこに行き先が決まったにもかかわらず当日来ない女性課長とか(実話)。ちょっと違うか。

 

本書では、リーダーとはこういう人であるという解説の後に、マッキンゼー流リーダーシップの学び方についても紹介されています。

マッキンゼー流リーダーシップの学び方】

  1. バリューを出す
  2. ポジションをとる
  3. 自分の仕事のリーダーは自分
  4. ホワイトボードの前に立つ
  • できるようになる前にやる
  • 自分のリーダーシップ・スタイルを見つける

この本、読み進めれば読み進めるほど、「そうか!私もリーダーシップ取れるようにならなきゃ!」って気分になってくるんですけど、読み終わってしばらくすると、「まあ、実際大変だよねー」みたいなオチになります。少なくとも私は。

 

「バリューを出す」とか、リーダーシップ云々を抜いても大事なことがたくさん書いてあることは確かです。本当にいるんです、”会議で一言も発言しない人”とか”何の成果もあげない人”って。そういう人が何人も課長とか部長とかにいたりするんです、日本企業って。

けれど、だからといって誰でも外資系に入れるわけじゃなし、そういう旧態依然な組織でどこまでこの本に書いてあるような理想的な心持でいられるかっていう・・・うーん・・・。

ま、そのへんは『ゆるく考えよう』?。

こういうビジネス書って、読むとなんだかデキそうな気がしてくるから、たまに読んじゃうんですよねー。意識高くなっちゃう系。意識だけじゃ、という気もしますけど。

まあそれらのほんの数パーセントでも実践できたら、何か変わるんじゃないかっていう淡い期待もあるんですけどね。おわり。